計画から実行の年に 耐震改修のPR活動促進 大阪府における安心で安全なまちづくりを目指す大阪府住宅まちづくり部。公営住宅 や府有建築物の改修・更新、密集市街地の整備や市街地再開発事業などを通して、良 質な住宅の供給や環境整備など、府民の暮らしを支えるまちづくりを推進している。 これら施策を展開する住宅まちづくり部の戸田晴久部長は、住みよいまちづくりの実 現を目指し、効率的な事業執行に努めている。その戸田部長に、今年度事業の取り組 み状況や来年度の見通しについて聞いてみた。 (渡辺真也)
――まずは今年度の取り組みについて。 「住宅まちづくりマスタープランの計画から実行の年として、災害に強い住宅建築物と新婚子育て支援を2 本をメインにやってきました。災害に強い建築物では、大阪府住宅・建築物10ヵ年戦略プランに基づき、耐 震化率9割を目指し、特に木造住宅での耐震診断と改修に係る補助制度づくりで、市町村と連携した取り組 みを進めてきました。耐震診断に関しては来年度中には全市町村で制度化できる予定です」 ――耐震改修の部分では。 「府の耐震改修促進計画に準じた促進計画を各市町村で策定するよう指導しているところで、今年度中に は、ほとんどの市で策定される予定です。今後は改修補助の立ち上げについて、引き続き市町村に協力要請 をしていきます。また、耐震化促進のため、府内各地域のショッピングセンターなどでキャンペーンやイベ ントなどを、これまでに42カ所で開催しました」 ――府有建築物の方はいかがです。 「災害拠点施設での耐震診断は全て完了しており、その他の一般建築物も来年度中には終える予定です。耐 震改修では、府立学校で98棟の実施設計に着手しております。府営住宅では6団地17棟で耐震改修の設計を 行いますが、こちらは居住しながらの工事となりますね」 ――府営住宅では、民活プロジェクトによる建替もあります。 「年間2,000戸の目標達成のためにはPFIによる民活プロジェクトがいくらかは必要です。また今年は千里 ニュータウンにも着手しました。さらに新婚子育て支援として、特定優良賃貸住宅を活用した家賃補助制度 を創設し、300戸の世帯が利用する見込みで、人気があります。府営住宅においても募集制度の工夫により、 新婚・子育て世帯向け募集などを実施しています」 ――昨年には、水と緑の健康都市で箕面森町も街びらきしました。 「箕面グリーンロードなどアクセス道が完成しましたし、分譲地も完売しました。また、先程言いました千 里ニュータウンも再生指針が策定され、いよいよ動き出します。府だけでなく地域やNPOなどと連携した 取り組みで、具体的な話はこれからですね。府としても泉北ニュータウンなどの再生モデルとして期待して おります」 ――ところで、確認申請や構造判定などで業務の停滞が指摘されておりますが。 「構造計算書偽装問題の再発防止のため、大幅な法令の見直しが行われ6月に施行されましたが、申請者も 審査側も不慣れな部分がありました。府では、法施行前から確認申請の事前審査制度を全国に先駆けて実施 しております。国の基準提示が遅れたこともありますが、最近では従前の状態に近づいてきたところです」 ――構造判定では大臣認定プログラムでの認定遅れも一因とか。 「本来ならスタートの1年前には必要ですが、遅れていますね。業界団体や経済界からも催促されておりま して、今年そうそうにも認定作業が終了すると聞いております。当面、府としては、建築確認の円滑な手続 きが行われるよう、引き続き確認申請の事前審査で、できるだけ手戻りのないように対応を図っていきま す。併せて国ではセーフティネット保証の対象業種に建設関連業種を追加指定するなどの取り組みが行われ ているので、関係機関へ周知を行っております」 ――来年度の事業については。 「府民の安全・安心に関する施策のベースの部分については、予算的には変わらないと思います。耐震につ いては多少、補助制度の内容が変わる可能性はあるかも知れませんね。ただ、耐震診断補助制度そのものを 周知することは必要と感じております。ですから高齢者など災害弱者に対し、自治会の集まりなど、いろん な機会を捉えてビラを配ったりして興味を持ってもらうため、草の根的なPR活動を展開しようと考えてお ります」 ――入札での総合評価方式の導入に関しては。 「総合評価方式では今年度1件だけ実施しました。住宅の場合はさほど特殊な技術を要するものは少ないで すから、総合評価方式を採用するとすれば簡易型になります。ただ、居住しながらの耐震改修などは総合評 価方式の標準型の対象にはなるかと考えております。まあ、いずれにしろ来年度は、計画段階から実行の段 階に入っていく年となりますね」