短時間で高剛性が得られる吹付けコンクリートを開発・実用化 ―強大な地圧がかかる大深部でトンネル構築が可能に― 清水建設(株)<社長野村哲也>は、電気化学工業(株)<社長晝間敏男>と共同でこのほど、短時間で高剛 性が得られる吹付けコンクリート(名称「短時間高剛性吹付けコンクリート」)を開発・実用化しました。本 コンクリートは、一般的な吹付けコンクリートに比べて吹付け直後3時間で約10倍の強度となり、構造を支え るうえで十分な圧縮強度を極めて短時間で発現できます。本コンクリートを使えば、強大な地圧が作用する大 深部などでトンネルを経済的にしかも安全に構築可能です。 本コンクリートは、トンネルの構造体である支保工の主要構成部材です。トンネルを掘り進むためには、支保 工に一定強度がでない限り、先へ掘り進めません。このため、強大な地圧が作用する場所でトンネルを構築す る場合、従来工法は、非常に重厚な支保工が必要となる点や、支保工の構築に時間がかかり過ぎる点など課題 を抱えていました。 今回開発した短時間高剛性吹付けコンクリートは、吹付け後10分間で10N/mm2以上の圧縮強度を発現し、3時間 後には、構造体を保持するうえで十分な圧縮強度18N/mm2を発現するという優れた材料特性を持っています。 一般的な吹付けコンクリートの強度と比べてみると、24時間で8倍の40N/mm2程度を発現します。この特性によ って、強大な地圧に対してより高い支保効果を発揮して、支保工の重厚化を抑制し、またトンネルの掘進速度 を高めることができるため、より深い場所でトンネルを構築可能になります。 本コンクリートの優れた特性は、(1)単位セメント量で通常の1.5倍に当たる550kg/m3、水セメント比で通 常の半分以下に当たる30%以下と、吹付け前のプレーンコンクリートとしては高強度配合であること、(2) 吹付け直後から強度を促進する新開発の「短時間強度促進用混和材」と流動性を向上させる「高性能減水剤」 を添加することから生まれます。 ≪特徴・メリット≫ 1.強大な地圧に対抗する支保工法 本コンクリートは、吹付け後の短時間で極めて高い支保効果を発揮します。圧縮強度が吹付け直後の10分間で 10N/mm2以上,吹付け後3時間後には18N/mm2となります。この3時間で発現する強度は、従来の吹付けコンクリ ートが28日後に求められる強度と等しく24時間で8倍の40N/mm2程度、1ヶ月では2倍以上の50N/mm2程度となり ます。 本コンクリートを使えば、強大な地圧に対してより高い支保効果を発揮して、支保工の重厚化を抑制し、また トンネルの掘進速度を高めることができます。これらの結果、軟岩地盤で深度数百メートル以上の地下トンネ ルなどを経済的にかつ安全に構築可能です。 2.都市部の大断面トンネルにおける地表沈下抑制効果 本コンクリートは、3時間という短時間で高い剛性を発現し、短時間のうちに早期にしっかりとした支保で支 持できるため、今まで以上にトンネル周囲地山を傷めず安全にトンネルを構築することができます。また1ヶ 月で50N/mm2と従来の2倍以上の強度を発揮するため、地表沈下の抑制効果をより高く得ることができます。地 表沈下をできる限り抑制する必要がある都市部の大断面トンネル工事などで、この効果を最大限に活かして、 安全に工事を進めることが可能です。 3.トンネル支保工の軽量化・構造簡素化 本コンクリート工法は通常のトンネルで使用されている吹付けコンクリート機械で施工できるため、一般のト ンネル工事への活用も可能です。その場合には、短時間で高強度の吹付けコンクリート支保工を構築できるこ とから、将来は、支保工の軽量化やトンネル掘進速度の高速化に役立ちます。 当社は既に、本コンクリートに関する試験施工を実施し、その性能の確認を完了。今後は、大きな地圧が作用 するトンネル工事や地表沈下の抑制が必要な都市部の大深度トンネルなどに、本コンクリートの適用を提案し ていく考えです。 以上 清水建設 http://www.shimz.co.jp/