壁面や凹凸面でもまんべんなくコンクリートの湿潤養生ができる
浸水養生システム「アクアカーテン」の開発
ハザマ(社長:小野俊雄)は、壁面や凹凸面でもまんべんなくコンクリートの湿潤養生(注1)ができる浸水養生システム「アクアカーテン」を川上産業株式会社(注2)、岐阜工業株式会社(注3)及び株式会社東宏(注4)の協力を得て、開発しました。本システムはあらゆるコンクリート構造物で適用できます。
高品質なコンクリート構造物をつくるためには、コンクリートの硬化初期に湿潤養生を行うことが必要です。コンクリートを硬化させるためにはセメントに必要な量の水を混ぜますが、水はコンクリート打設面から蒸発するだけでなく、セメントの水和反応(注5)の進行にともない失われていきます。水が不足すると水和反応は進まず、コンクリート自体も乾燥して品質が低下してしまうので、一定期間、コンクリート表面を水に浸そうというのが「浸水養生」です。
しかし、「浸水養生」を壁面で行うのは容易なことではありません。本システムは、コンクリートと浸水養生シート(注6)との間の空気を吸引し、負圧(注7)にすることにより両者を密着させ、その隙間に水を流すという方法でコンクリート表面を水膜で覆うことに成功しました。この方法は、凹凸のあるコンクリート表面であっても両者を隙間無く密着させられますので、養生の程度にバラツキが無いという点が一番の特長です。なお、流れ落ちた水は吸引機で回収し、再利用します。
浸水養生シートは、一般的に梱包用として利用されている気泡緩衝シート(プチプチ(R))と不織布を重ねたものです。安価な上に、断熱効果があって保温性に優れているという利点があります。
本システムで使用する資機材は気泡緩衝シートをはじめ、給水ポンプや吸引機など一般的なもので、特殊な装置は必要としません。
なお、最もシートの取付けが困難なトンネル工事では、専用の台車を用いることで安全に施工できます。
養生効果を室内実験で測ったところ、本システムにより1か月間、浸水養生を行ったものは、全く養生していないものに比べて圧縮強度は約37%向上し、また中性化速度が約60%低減することにより耐久性も向上することが確認できました。
コンクリートの品質に対する発注者や利用者等の要求レベルは、年々高くなっています。当社はあらゆるコンクリート構造物において、壁面や凹凸面でもまんべんなく「浸水養生」を行える本システムを、発注者などへ積極的に提案していく考えです。
(注1)湿潤養生
コンクリートの表面および内部を湿潤状態に保持して硬化作用を十分に発揮させ、乾燥によるひび割れなどを防ぐこと。
(注2)川上産業株式会社
本システムでは、浸水養生シートの開発を担当。
社長:川上肇、本社所在地:名古屋市中村区千成通2-50、
(注3)岐阜工業株式会社
本システムでは、トンネル工事における浸水養生シートの施工方法の開発を担当。
社長:北川智秋、本社所在地:岐阜県本巣市十四条144、
(注4)株式会社東宏
本システムでは、トンネル工事における浸水養生シートの施工方法の開発を担当。
社長:部田修弘、本社所在地:札幌市東区北20条東5丁目1-7、
(注5)セメントの水和反応
セメントが水と化学反応をして、固まること。
(注6)浸水養生シート
本工法で使用される特殊な気泡シートは、川上産業株式会社がウイングプチRとして製造販売する予定。
(注7)負圧
大気圧より低い圧力のこと。
写真1 浄水場調整池築造工事における施工状況
写真2 トンネル工事における施工状況
図1 トンネル工事での適用例 (株)間組
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