いきいきと健康に働ける環境を実現する「人にやさしい空間」の研究を実施
~研究成果を基に5月より実際に執務者がいる環境下での実証実験を開始~
竹中工務店(社長:竹中統一)は、2007年より、これまでの空間づくりの視点を変え、人がこれまで以上にいきいきと働き、生産性や創造性が高まる「人にやさしい空間」を構築するための研究を進めています。現在、医学・脳科学・心理学・生体工学などの国内外の研究者と共同で、建築をはじめ外部環境が人の五感にどのような影響を与え、人がどのように反応するかについての科学的エビデンスを得るための研究を実施しています。
2010年4月に竣工した「TAKイーヴァック新砂本社ビル」内において、「人にやさしい空間」の研究で得られた結果の内、「光環境が生体リズムに与える影響」と「温熱環境が生体リズムに与える影響」について、実際に執務者がいる環境下での実証実験を5月からおこなっています。実際のオフィスにおける生理・心理、知的生産性などへの影響について、科学的に実証します。
【「人にやさしい空間」研究について】
◆「人にやさしい空間」概要
現在ある多くの建築は、多くの人が「不快でない」と感じ、均質で変化しないようにつくられています。しかしながら人間は、多様な個性にあふれており、その状態や行動も時々刻々と変化しています。人間は、建築をはじめとする外部環境から、豊かな刺激を受けることで、より健康に、よりいきいきと活動することができるようになります。
例えば照明を用いて「人にやさしい空間」を構築すると、以下のような点を実現可能です。
・従来の均質で変化しない空間ではなく、ヒト本来の生体リズム(24時間のリズム=サーカディアンリズム)に合わせて室内の照度を変動させることで、昼間の覚醒~夜間の熟睡といった生活リズムを整えることができる。
・自分のデスクだけ照度を変化させて、自分の好みの環境をつくりだすことで、仕事の効率を高めることも可能。
「人にやさしい空間」の実現に向けて、建築が「人」にどのような影響を与え、「人」がどのように反応するのかについて研究し、科学的なエビデンスに基づく建築空間デザイン技術(Neuro Architecture:神経建築学)の確立を目指していきます。
◆「人にやさしい空間」研究成果
(1)光環境がサーカディアンリズムに与える影響
・研究の概要
<ケース1>既存のオフィスのように照度を一定にする場合と、<ケース2>被験者の要望時に照度を自己選択で高くする場合を比較することで、光環境がサーカディアンリズムに与える影響を検証しました。被験者実験では、心電図から得られる交感神経系、副交感神経系の働きを評価しました。交感神経は、覚醒・緊張しているときに活動が高まり、逆に副交感神経はリラックスしているときに活動が高まります。
・得られた成果
被験者実験から、<ケース2>被験者の要望時に照度を自己選択で高くする場合の方が、日中は覚醒し(副交感神経が抑制)、あわせて睡眠時はリラックスできている(副交感神経が活性)可能性が示されました。
(2)温熱環境がサーカディアンリズムに与える影響
・研究の概要
<ケース1>既存のオフィスのように室温を一定にする場合と、<ケース2>サーカディアンリズムを考慮して室温を3℃上昇させる場合を比較することで、温熱環境がサーカディアンリズムに与える影響を検証しました。被験者実験では、深部体温等の変化を評価しました。人間の深部体温もサーカディアンリズム(24時間周期)で
上下し、健康な状態ではその変動の振幅が大きくなります。
・得られた成果
被験者実験から、<ケース2>サーカディアンリズムを考慮して
室温を3℃上昇させた場合、日中の深部体温の上昇を促し、深部体温の日変動(サーカディアンリズム)の振幅に影響を与える可能性が示されました。
【「TAKイーヴァック新砂本社ビル」での実証実験について】
「人にやさしい空間」の研究成果から展開された前述の2種類の研究成果について、実際の執務者を対象にした検証や、被験者実験などを通じて科学的な検証をおこなっています。これらの実証実験を通じて、実際のオフィスに適用した場合の生理・心理、知的生産性などへの影響を明らかにします。
(1)サーカディアンリズムを考慮した光環境制御技術
照明制御システムに対しては、『光環境が生体リズムに与える影響』に関する研究成果をアンビエント照明(部屋全体を明るくする照明)、タスク照明(必要な場所のみ明るくする照明)の照度・色温度制御ロジックへと反映させています。昨今注目されているサーカディアンリズムを考慮した執務環境の考え方を更に進め、個々人がある範囲内で快適な照度を選択できるシステムを併せて導入しています。
(2)サーカディアンリズムを考慮した温熱環境制御術
空調システムに対しては、『温熱環境が生体リズムに与える影響』に関する研究成果をアンビエント空調制御ロジックに反映させています。
◆検証方法
(A)実際の執務者を対象とする検証
実際の執務者を対象として、アンケートなどの心理指標に関する調査を定期的に実施します。パーソナル制御の利用などの行動調査は、制御システム側からのデータ取得により解析をおこないます。
(B)被験者実験
休日などを利用して被験者実験を実施します。心電図などの生理データを計測しながら、室内環境が知的生産性に与える影響などを検証します。 (株)竹中工務店
http://www.takenaka.co.jp/
*記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。