無線LANの通信環境を改善する電磁波シールド壁の実用化へ前進
東急建設株式会社(東京都渋谷区 社長:飯塚恒生)は、このほど、無線LANの通信環境を改善するための電磁波シールド壁を開発し、実用化に目処をつけました。
この電磁波シールド壁は、石膏ボードの表面に電磁波を遮蔽するアルミ箔を格子状に敷設することによって、隣室などから侵入する干渉電波を軽減し、室内の無線LAN通信環境の劣化を緩和するものです。同時に室内から隣室への干渉電波も軽減されます。本技術は混信や通信速度の低下が生じにくい安全で快適な無線LAN通信環境を、携帯電話の通信機能は維持しながら建築的に実現する技術です。
都市部では、WiFi(無線LAN)の発信点(アクセスポイント)が乱立しているため、通信波が混雑してチャンネル不足が生じ、通信の切断や通信速度の低下が頻発する状況にあります。当社は、本技術により一般の居住環境も含め、建物の用途に応じて安全で快適な室内無線LANの通信環境を確保する建築的技術の実用化を目指しています。
【開発の背景】
現在のような高度情報社会では、通信電波の傍受による機密情報の漏洩、電波の輻輳・干渉による通信障害などのリスクを予測し、必要な対策を実施していくことが求められています。
これらの問題を解決するには、用途や目的、所有権などで区切られるそれぞれの通信エリアを適切に区分し、互いの通信波が干渉しあわないようにする対策が必要になります。
最近では、都市部のオフィスや商業施設などにおいて無線LANが広く普及しています。しかしながら、これらの通信環境を安全に利用するには、チャンネル設定などの通信機器側での混信対策のみではなく、建物側で通信エリア毎に電磁波シールド対策を施し、混信干渉による通信速度の低下や切断、建物外部からの通信傍受や不正アクセスなどのリスクを低減する技術が必要となります。
【概要】
東急建設は無線LANなどで使われる特定周波数の電磁波のみを選択してシールド(遮蔽)できる電磁波シールド壁(乾式二重壁構造)の設計法を2013年12月に開発しました。今回は、その設計法に基づき実験を重ね、電磁波シールド壁の実用化に目処を付けました。実用化の対象は間仕切り壁などに使われる乾式二重壁です。
2015年2月に東急建設技術研究所(相模原市)の住宅総合実験棟内に電磁波シールド壁で囲った2.7m角の試験室を製作し、その効果を確認しました。室外から妨害波を受けている状況で室内に無線LANの発信源となる親機のパソコンを設置し、約20分の動画に相当するファイル(20MB)を同室内の子機となるパソコンに親機から転送しました。ファイル転送実験の機材配置図を図1に示します。
その結果、電磁波シールド試験室内ではファイル転送できることを確認しました。一方、同様の実験を妨害波を直接受ける電磁波シールド試験室の外で行った場合には妨害波の影響でファイル転送ができませんでした。
以上から電磁波シールド壁による無線LAN環境の改善効果を確認することができました。また、本電磁波シールド試験室内で主要3社の携帯電話での通話が可能であることも確認しました。
電磁波シールド試験室と実験時の状況を写真1~写真4に示します。
【特長】
今回実用化の目処を付けた電磁波シールド壁は、表面に格子状導体を配置して電磁波をシールドすることから、壁の全面に隙間なく電磁波シールド材料を敷設する従来のシールド方法に比べて材料コストの縮減を図ることができます。
さらに、室内で携帯電話での通話が可能であることから、日常生活の便利さを失わずに無線LANの通信環境の改善が可能です。
【今後の展開】
無線LAN環境の建築的な改善技術として本技術の製品化と普及に向け、さらに技術開発を進め、実績を積み上げていきたいと考えています。
以上東急建設(株)
http://const.tokyu.com/
*記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。