トップページ  ▶プレリリース  ▶産総研、人工...

産総研、人工知能を用いた打音検査で点検漏れを防止するシステムを開発

人工知能を用いた打音検査で点検漏れを防止するシステムを開発

-インフラ構造物の異常度マップを自動生成し点検業務を効率化-

  

■ポイント

  ・点検ハンマーによる打音の違いを機械学習し、構造物の異常箇所をリアルタイムで提示

  ・異常検知箇所を自動で図面化して工数削減、点検結果の見える化が可能

  ・全国で急増が予想されるインフラ点検業務での活用に期待

■概要

  国立研究開発法人 産業技術総合研究所【理事長 中鉢 良治】(以下「産総研」という)人工知能研究センター【研究センター長 辻井  潤一】人工知能応用研究チーム 村川 正宏 研究チーム長、人間情報研究部門【研究部門長 持丸  正明】サービス観測・モデル化研究グループ 大隈  隆史 主任研究員らは、首都高技術株式会社、東日本高速道路株式会社 東北支社、株式会社テクニーと、インフラ構造物の打音検査を人工知能でアシストし、異常度マップを自動生成するシステム(AI打検システム)を開発した。

  今回開発したAI打検システムは、点検ハンマーによる打音の違いを機械学習し、構造物の異常箇所と異常の度合いを自動検知する。検知結果を点検員にリアルタイムで提示するとともに、点検ハンマーの位置情報と統合して異常度マップを自動的に作成する。これにより、図面化を含めた作業工数が削減でき、また、非熟練者でも見落としなく点検作業が行えるため、熟練点検員の確保が難しい地方をはじめ今後急増すると予想される全国のインフラ点検作業での活用が期待される。

  なお、今回試作したAI打検システムの実機は、平成29年6月7~8日に夢メッセみやぎ(仙台市)で開催される「建設技術公開  EE東北’17」と7月19~21日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される「メンテナンス・レジリエンスTOKYO2017」にて展示される。

  今回の研究開発は、内閣府総合科学技術・イノベーション会議の「SIPインフラ維持管理・更新・マネジメント技術」(管理法人:NEDO)によって実施した。

  

■開発の社会的背景

  近年、社会インフラの老朽化が進み、第三者被害を防止する観点からの維持管理が重要視されるようになった。そうした中で、国土交通省により橋梁などの総点検が2014年に打ち出され、今後インフラの点検需要は急増する見通しである。

  社会インフラの点検では、目視点検と打音検査が一次検査として広く行われている。一次検査で異常が発見されると、その後の経過観察や精密な計測機器による二次検査が行われる。現状では、一次検査は点検員の経験や感覚に依存しているが、高齢化と労働人口の減少に伴い熟練点検員は減少する傾向にあり、点検員の確保が難しいケースも見られるようになってきている。

■研究の経緯

  産総研では、既存の打音検査を高度化し、点検員の感覚に頼らずに打音の異常度を定量化することでばらつきやミスを防止する研究開発に取り組んできた。そのコア技術に、人工知能技術の一手法である機械学習を用いた異音解析技術がある。この技術では、異常な音を人間が定義するのではなく、収集した打音データの統計的な性質から機械が判定基準を学習する。そのため人間による定義のミスや想定外の異常の見落としを減らすことができる。

  産総研は、このような機械学習技術を、1980年代から適応学習型汎用認識システムとして提案している。これまでに画像や動画を対象とした異常検知技術などの開発に取り組んできたが、現在は音響データや振動データにも対象を広げている。

  

  

  

独立行政法人産業技術総合研究所

http://www.aist.go.jp/

*記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。