神戸市建設局発注「三宮南地区高潮対策西工区土木工事(その3)」 施工は溝尾 大幅な工期短縮、作業効率の向上など実証
【写真】効率のよい施工を推し進める建設現場
神戸市建設局発注の三宮南地区高潮対策西工区土木工事(その3)(施工・?溝尾、長野宗且所長)で、鋼板 プレストレス強化工法により長スパン化した覆工板「プレストレスデッキ」(1・0?×4・0?、現在特許 出願中)12枚が初採用され、工期短縮や作業効率の向上に大きな威力を発揮している。 〜〜〜 関西大学、大商鋼材、太洋建設、技建管理の産学連携で開発 〜〜〜 鋼板プレストレス強化工法は、関西大学の坂野昌弘・工学部都市環境工学科教授が考案した画期的な補強工 法。 長スパン化したプレストレスデッキは、同大学が産学連携の大きな推進母体として立ち上げた先端建設技術実 用化研究会の参加メンバーである大商鋼材?(藤本拓司代表取締役)、太洋建設?(小林康志代表取締役)、 ?技建管理(井上靖弘代表取締役)の3社が、坂野教授の指導を得ながら同強化工法を使って共同研究を進 め、世界で初めて長さ4・0?という長スパン化の実用化に成功したもの。 昨年、近畿地方整備局が開催した「建設技術展2006」でも、関係者の大きな注目を集めた。 三宮南地区高潮対策西工区土木工事(その3)は、古い雨水幹線(水路)を撤去し、新しいRCボックスカル バートに切り替えている工事。施工場所は神戸市中央区海岸通1丁目〜3丁目他。国道2号の横断工事という 交通の激しいところで、しかも夜間施工の限られた時間制限の中、安全で効率の良い施工を求めていた溝尾の 長野所長が、大商鋼材からこの新しい覆工板開発の情報を得て採用したい考えを神戸市建設局に伝え、神戸市 建設局もこの覆工板の使用に賛同し同工事に適用した。 大きな特色は、従来の3・0?では、桁受を設けその上に受桁を設置し覆工板を敷設していたが、4・0?の 長スパン化により受桁が不要になったこと。 具体的にその効果は、 ?従来の覆工板(3・0?)では、掘削幅が広いので受桁が必要。覆工板の4・0?を使用すると受桁の鋼 材が減るためにコストが安くなる ?受桁の撤去・復旧が無くなるために撤去・復旧の時間や労力が不要になる ?車線変更移動時に覆工板を撤去・復旧するだけで施工できるため、スピードアップが図れる ?工程短縮になり、交通整理人などの経費が安くなる ?掘削・ボックスカルバート据付時に受桁がないために作業空間が広く安全性・作業効率が向上するーとい った多くのメリットをもたらしている。 これによって1日約2時間の工期短縮を実現。溝尾の長野所長は「受桁が不要になったのが、やはり一番の大 きな特色です。その時間と労力が減ったことで、作業効率もぐんと向上しました」と語っている。 技建管理の井上代表取締役は「こんなに早く使っていただけるとは思ってもいなかった。お話をお聞きした時 は感動したものです」と採用された当時を振り返っている。現場の近くには国土交通省近畿地方整備局兵庫国 道事務所や神戸第二合同庁舎があり、多くの職員や関係者が見学に訪れている。 このプレストレスデッキは、25トン車を想定した設計荷重をかけて200万回を超える疲労試験を実施。メ ンテナンスにより一枚10年は使用が可能で、将来は橋などの構造物にも適用が期待されている。今回、施工 性の良さを実証したことで、今後、一段と脚光を浴びそうだ。
【三宮南地区浸水対策内水排除事業】 平成16年の台風時の高潮や降雨により、神戸市三宮南地区(宇治川から生田川間)の神戸港に面した低地盤 地区で、道路冠水や建物などの浸水被害が4回生じた。 そのため神戸市建設局では、みなと総局が実施する防潮堤整備事業と連携し、雨水ポンプ場や雨水管渠などの 内水排除施設の整備を進めている。三宮南地区高潮対策西工区土木工事(その3)は、中長期対応完了までの 緊急対応として、平成16年の台風規模を対象とした内水排水施設の緊急整備を行っているもの。 工事概要(三番踏切雨水改修工)は、掘削工(W3・15?、H2・13?)、土留工(鋼矢板?型L6・0 ?49枚、親杭横矢板一式、路面覆工・受桁設置・撤去、60平方?)、カルバートボックス据付(1・2? ×1・0?、L14・5?)。工期は平成18年3月18日〜19年3月20日。