「支店長と事業本部長の兼務ということで活動のエリアが広がりました。神戸はそう でもないですが、やはり四国までとなるとエリアの広がりを感じますね」。 今年4月、常務執行役員から専務執行役員となり、関西事業本部長に就任、大阪支店 長としては5年目を迎える。東京で3年半を過ごした以外は関西での勤務。「関西の 風土や文化には精通しているつもりで、特別な緊張感はありません」 「支店長就任当時、関西はかなり冷え込んでおりましたが、少しずつ良くなってきた と感じております」。今年度は工事量の増加が見込まれるが、建材関連が値上がりす る中では、コスト問題や受注活動において「待っているだけでは状況は変わらない、 積極的に取り組まなければなりません」との姿勢を示す。
関西事業本部としての取り組みでは、「関西は受注量は微増、利益率は維持」を上げる。全国的にも厳しい 状況にある関西地区では、地元勢との競争も激しいが、「関西では明治以来100年を超す実績もありますし、 私自身は東京の会社とは思っておらず、地元のスタンスでやっております」。 営業戦略では、得意とする医療福祉分野でのシェアが高く、生産施設も増えつつあるとし、「これまでの実 績を武器にシェアの確保に努めたい」。また超高層マンションに関しては、企業のシンボルになるとして、 積極的に取り組みたいと。 《モチベーションを高めて》 社内的には、営業から設計、施工部門までが一体になり、「ベクトルを併せて全員がモチベーションを高め ていくことが重要」とし、また現場責任者に若手を起用するための体制づくりを上げる。自身も「現場が好 き」と言い、現場を回りスタッフ達と写真を撮っている。「若い人と写真を撮ることで彼らに親近感を持っ てもらえれば」との思いから。 現在、母校の京都大学で建築生産の講義を受け持つ。「今の学生を見ていると建設業の将来に一抹の寂しさ を覚える」と現在の学生気質を嘆く。モットーは「誠意と努力」。IT時代とはいえ、「最後は人と人。営 業も技術も誠意と努力を認めていただき、信頼を得るお付き合いが大事です」。 個人的には、「ゴルフのシングルハンディの取得と英会話、ピアノの上達」を上げる。本部長と支店長の兼 務により多忙を極め、目標達成までにはまだまだ時間がかかりそうだ。 小橋鴻三(こばし・こうぞう)昭和46年4月、清水建設入社、同60年11月大阪支店工事長、平成6年1月同 支店京都営業所副所長、同8年9月東京支店蒲田駅前共同開発建設所所長、同11年1月大阪支店京都営業所 長、同12年2月大阪支店副支店長・京都営業所長、同14年4月大阪支店支店長、同年6月執行役員大阪支店 長兼関西事業本部副本部長、同16年六月常務執行役員大阪支店長兼関西事業本部副本部長を経て、今年4月 から現職に。京都大学工学部建築第2学科卒。岡山県出身。59歳。