安全・安心・快適な都市型高層住宅が誕生―。約10万戸におよぶ市営住宅ス トックを良好な社会資本として活用していくことを目指す大阪市が、その一 環として進めている建て替え事業によって「大阪市営桜島住宅一号館」が完 成し、来年1月から順次入居が始まる運びとなる。鉄筋コンクリート造10階 建て、延べ床面積6,677.513?の規模を有するもので、総戸数は109戸。施工 を担当した三木・松村経常建設共同企業体では、品質の向上を安全第一に目 指していき、全工期無事故・無災害のうちに高精度施工を達成した。
全工期無災害で高品質施工達成 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 約10万戸の市営住宅を管理している大阪市では、これらの市営住宅ストックを良好な社会資産として有効に 活用していくため、2001年11月に「大阪市営住宅ストック総合活用計画」を策定。築年数や構造、浴室・エ レベーターの有無、敷地の状況などにより、建替・全面的改善・エレベーター単独設置・維持保全のうち、 最も適切な活用手法の判定を行う同計画に基づいて市営住宅の整備を推進している。 それへの柱の一つと なる建て替え事業によってこのほど完成した「大阪市営桜島住宅1号館」は、JRゆめ咲線「桜島」駅から 徒歩約5分の大阪市此花区桜島3丁目に位置し、来年1月から安全で快適な都市型高層住宅での生活が順次 始まる運びとなる。 老朽化の解消と設備水準の向上を目指し、1964年度に建設された総戸数180戸(鉄筋コンクリート造五階建 て、30戸×6棟)の桜島住宅の跡地に建設されたもので、構造規模は鉄筋コンクリート造10階建て、延べ床 面積6,677.513?。総戸数は109戸で、タイプ別内訳は、2K39戸、2DK39戸、3DK29戸、車いす常用者 向け住宅2戸(2DK1戸、3DK1戸)となっている。 一方、高齢者をはじめとするすべての入居者が安全に安心して暮らせるよう、全住戸のバリアフリー化を図 るなどして人にやさしい住環境を創出している「大阪市営桜島住宅一号館」の施工を担当し、多くの関係者 や入居者から寄せられていた期待と信頼に応えたのは三木・松村経常建設共同企業体。福田雅文所長をはじ めとするJVならびに各協力会社の精鋭スタッフが一丸となって工事に取り組み、全工期無事故・無災害で の高品質施工を達成した。 その工事が軌道に乗り始めたのは2006年6月初旬。既存建物の基礎撤去から着手し、杭打ちには8月初旬に 着手した。 打設したのは杭径1,400から1,500?、拡底径1,900から2,300?、長さ38.65mの場所打ちコンク リート杭で、合計27本。一部の施工場所においては、下層に存在する基礎を撤去しながらの作業となった が、アースドリル拡底工法によって1日当たり一本のペースで着実に打ち込んでいき、9月中旬に完了させ た。引き続き推進した掘削は、GLマイナス二?付近からあった多量の湧水への対応がポイントとなった が、水中ポンプによる排水に努めてドライワークを保ち、約2週間で完了するに至った。 基礎ならびに埋め戻しなどが完了した10月中旬に着手した躯体は、ワンフロア当たり約3週間ピッチで上 昇。今年の7月中旬に打ち上げを無事に果たした。内装がラップしたのは5月のゴールデンウィーク明けか らで、11月初旬に完了。また、受水槽・電気室、ごみ収集施設、自転車置き場、屋外整備工事などの外構に ついても8月初旬から11月末までの期間にすべてを終えた。 「撤去しなければならない基礎が予想以上に多くあったため、厳しい工期となった」(福田所長)ものの、 工期内竣工を無事に果たした桜島住宅建設工事。この間、三木・松村経常建設共同企業体では、低振動・低 騒音型重機を採用するなど、近隣に対する配慮にも万全を期しながら施工し、工事に対する近隣住民からの 理解と協力を得た。 また、品質管理面においては、「クラックをなくすため、良質なコンクリート打設 を目指す」(福田所長)こととし、型枠解体後にもクラックスケールを用いた確認作業を入念に実施するな どの最善策を講じた。 一方、安全管理活動では、「『まず安全』。作業規則を徹底し、安全第一を基本とした施工計画により、よ りよい作業環境のもとに災害の絶滅を図る」という安全衛生管理方針に基づき、墜落・転落災害の防止を最 重点項目として定めて緻密に展開。この結果、約10万5,000時間におよぶ全工期無事故・無災害を達成して高 品質施工に花を添えた。 福田雅文所長の話 既存の基礎撤去に時間と労力を要したため、工期の面ではやや厳しいものがありましたが、全工期無事故・ 無災害での竣工を迎えることができ、ほっとしています。これも偏に、大阪市をはじめとする関係各位のご 支援ならびにこの工事に従事した皆さんの努力の賜であり、心から感謝申し上げます。