大阪市は、土地信託事業で破綻したアミューズメント施設「フェスティバルゲート」(大阪市浪速区恵美須 東三)の新たな活用策として1月から公共利用提案競技を実施していたが、外部有識者で構成した審査委員 会から「第1次審査通過の最低基準を満たしている提案が無い」との審査結果報告書を29日に受理し、同提 案競技を終了することにした。今後は公共利用を断念し、売却の方向で検討する。 フェスティバルゲートは、鉄骨造及び鉄筋コンクリート造地下1階地上8階建て、延べ床面積5万5,264.42 ?(駐車場含む)。1991年3月に土地信託契約(4銀行連合体)を結び、1997年7月にオープンした。2004 年5月には地域振興の発展を目的とする施設に再生するため、建物賃貸方式によるコンペを実施。同年9月 にオリックス・アスクプランニングセンターの提案が選ばれた。大阪乗り物おもちゃ箱(交通記念館)を集 客の核とする複合商業施設の再生を目指し、同年10月にオリックスらと事業運営の契約を交わした。しか し、2005年7月に両者の間で契約が成立せず、白紙となっていた。 このため市は、昨年9月に外部の有識者を含めたフェスティバルゲートあり方検討会議を設置。「公共利用 提案競技」と「売却」の2つの方向で検討を進め、「公共利用提案競技」が望ましいとの結論を出した。こ うした背景のもと市は、外部の有識者4名で構成したフェスティバルゲート公共利用提案審査委員会(平野 鷹子委員長)を設置し、今年1月から提案競技を実施。同検討会議の報告書の趣旨などを踏まえ、現行の公 共サービスに限らず自由な発想で人々の交流拠点として民間活動をサポートできる企画から実行まで責任を 持って運営できる事業者を募集した。 しかし、提案競技に五社が応募したものの第1次審査で、第1次通過の最低基準60点を満たしている提案が なく、同委員会は「市民の理解が十分に得られ、市の事業として実行するに値する提案はない」との審査報 告書をまとめ、29日に市に提出した。審査報告書を受理した市は、今後、「売却」する方針。 市の土地信託事業は、このほか複合施設「キッズパーク」(北区)、オフィスビル「ソーラ新大阪21」(淀 川区)、複合商業施設「ビッグステップ」(中央区)があるが、いずれも年内に売却したい考えだ。しか し、目標が達成できなければ、財政難に悩む市に新たな負担が生じる可能性も出てきそうだ。