ダンピング防止や入札ボンドなど 国交省と全建、近畿各建設協会が意見交換 公共工事の諸問題に関して、国土交通省と近畿各府県の建設業協会で構成する 近畿建設業団体協議会が意見交換を行う「2006年度近畿ブロック会議」が13 日、大阪市内のホテルで開催された。会議には、国交省から大森雅夫・大臣官 房審議官、佐藤直良・大臣官房技術審議官、藤本貴也・近畿地方整備局長ら が、協議会からは各建設業協会の正副会長並びに、社全国建設業協会の前田靖 治会長らが出席し、総合評価方式の運用に関してやダンピング問題等について 意見交換が行われた。
※写真:13日に開催された近畿ブロック会議 会議では、初めに協議会を代表して浅沼健一・大阪建設業協会会長が挨拶。地方の業界について淺沼会長は、 「極めて深刻な状況」と述べ、社会的批判を浴びる問題の続発については、「現今のシステムの制度疲労の結 果だ」とし、「自信と誇りを持てる業界へ脱皮するため、出来ることから一歩一歩実施していきたい」と、会 議の成果に期待を寄せた。 大森審議官は、「全国的にもダンピングが大きな問題となっている」とし、品質確保や元下関係の適正化など 「業界の健全な発展のためにも対策は不可欠で、今後も努力を続けていく」と語り、佐藤審議官も、「最大の 課題はダンピング対策」として建設生産システムを見直すとともに、「社会資本整備のギアチェンジの時期 だ」と指摘した。 また藤本局長は、ダンピングについては、経審など入口での強化とともに、品質確保と下請けへのしわ寄せな どの点で議論する必要があるとし、「解決への特効薬はないが、十分に意見交換したい」と語り、全建の前田 会長は、「コンプライアンス遵守なくして業界の信頼回復、企業存続はない。一歩でも前進できる議論を期待 する」と、それぞれ挨拶した。 この後の意見交換では、ダンピング防止に関して、兵建協が最低制限価格制度の導入と予定価格の事前公表撤 廃を要望。これに対して、「最低制限価格制度は府県レベルでは実施しているが不十分な部分もあり、実態を 把握して指導していく」とされ、事前公表では、「くじ引きの多発や積算努力が見られないなどの実態は理解 している」とし、撤廃に向けて「実施範囲を検討し、適正化指針に盛り込むための調査を実施する」とされ た。 大建協では、総合評価方式の改善として、技術提案の費用負担と公共工事が縮小する中、技術者が工事実績 を積む機会が減少していることから、配置技術者の経験緩和などについてを要望。 費用負担については「取り組みに伴う負担は見るべきであろう」として検討することとし、技術者の経験緩和 は、「規制を緩くすると不良業者が参入しやすくなる」ことから、案件毎の実情に応じた運用の観点から、 「各地方整備局に委ねる」こととされた。これについて近畿歳暮局は、「現行条件については各府県からも要 望があり、現在検討中である」と回答があった。 また京建協からは、入札ボンドについて絹川治会長が、「不良不適格業者排除の上からも、与信枠について財 務判断のみでの評価は疑問」との意見が出た。 与信枠に関しては、金融機関が各要素を評価して定めると聞いているーとし、「始まったばかりであり、効果 を見ながら検証していきたい」と国としての見解が示された。 また大森審議官は、「ボンドには様々な議論があり、与信枠は重要と考えている。実績を見ながらやる必要が あり一定の効果を上げるためには面的な広がりが必要だ」とし、佐藤技術審議官も、「ひとつの方策で全てを 解決できるわけではないという共通認識を持ち、システムと現場の動き、この両面を整備しなければ」と述 べ、いずれもボンド拡大への努力を続けながら今後の動向を見守ることとした。(国交省出席者の肩書きは13 日当時のもの)