改修か建替かの問題点等整理 大阪府庁舎の整備について、府議会庁舎整備検討委員会(委員長・奥田康司) はこのほど、委員会の討議を踏まえた報告書をまとめた。今年1月の耐震診断 の結果を受け、改修か建て替えかを中心に庁舎整備の方向性について議論を重 ね、その過程で明らかになった問題点や疑問点をまとめたもので、9月15日に 太田房江知事に提出した。 ※写真:大阪府庁本館(正面)
委員会の設置は、府庁舎の耐震診断結果が建築基準法の耐震性能を下回ったことから、今後の整備の在り方等 に関する諸問題を総合的に調査、検討するためのもので、府議会の五会派の代表10名で構成。6月15日から9 月15日まで8回の会合で議論を進めてきた。 会合では、府庁舎本館は防災対策上の重要拠点であり、耐震改修促進法に基づき他の府有施設と同様、2015 年度までに耐震化を図ることを前提として議論が行われた。その中では、耐震補強工事と建て替え(行政 棟・議会棟)について、整備手法別によるコストをはじめとする比較が行われた。 その過程で、▽本館耐震改修の位置付け▽庁舎整備と行財政計画との関係▽庁舎周辺整備地区の土地利用と将 来のまちづくり構想▽土地活用と財政負担の縮減▽本館の保存・活用▽将来の府庁舎に求められる機能ーの六 項目についての疑問点や問題点を整理した。耐震改修の位置付けについては、年内に府の10か年の耐震化計画 と実施方針を作成するとしながら、府有施設全体における優先順位の考え方が「未整理」であるとした。行財 政計画との関係では、新庁舎整備に係る事業費と計画との整合性が明らかではないと指摘している。 周辺地区の土地利用と将来のまちづくり構想では、周辺環境に適合した具体の全体像を示しながら、PFI方 式等による民間活力を導入した方策、民間事業者の参画意向を踏まえた実現性の高い具体的なまちづくりプラ ンの作成を上げている。 また、土地活用と財政負担の縮減に関しては、安易な土地売却ではなく、定期借地方式なども視野に検討する 必要があるとし、庁舎整備にあたっては「財政負担縮減が重要課題」と認識。新庁舎の規模等を精査し、建設 事業費の削減やPFI手法の活用、民間との合築など「様々なアイデア・工夫により財政負担縮減を図るべ き」とした。 委員会では、これら問題点を上げながら、より多方面にわたる広範なデータに基づき、「多角的な比較検討に より今後の方向性を決める必要がある」とし、府に対して、報告書で示した諸課題について外部有識者等の意 見を採り入れ、さらに精度の高い調査・検討を深め、総合的に判断しうる条件を整えた上で、庁舎整備につい ての具体的な考え方をとりまとめて、議会に提示することを求めている。 大阪府議会庁舎整備検討委員会のメンバーは次の通り。(敬称略) (自民党)奥田康司、橋本昇治、朝倉秀美、西口勇 (民主党・無所属ネット)半田實、田中誠大 (公明党)野田昌洋、鈴木和夫 (共産党)阿部誠行 (府民ネットおおさか)今井豊