阪神港スーパー中枢港湾プロジェクトの整備促進へ 国際競争力強化と防災関連事業など柱に 近畿地方整備局はこのほど、2007年度予算概算要求に係る重点事項を明らか にした。来年度も地域の個性を生かした多元的連携による近畿の再生を目指 し、 ?国際競争力の強化・観光立国
?地域の自立と競争力の強化 ?安全・安心基盤の確立 ?柔軟で豊かな生活環境の創造 ?「新成熟社会」形成 --に向けた政策プラットホームの五つの重点事項を掲げ、阪神港スーパー中枢港湾プロジェクトの推進 、第2京阪道路の整備、高規格堤防整備事業、大和川の水環境整備など、この重点事項に沿ったプロジ ェクトを中心に予算要求する。各部の基本方針・重点事項の概要は次のとおり。
【治水関係】 高規格堤防(スーパー堤防)整備事業は、都市再生プロジェクト関連の大和川線地区、淀川左岸の海老江・高 見地区など、関係機関と連携して実施。寝屋川総合治水対策は、引き続き雨水増補幹線整備を促進する。草津 川放水路事業では、田中新橋架替えや草津川河川防災ステーションを整備。上野遊水地も長田排水門の工事を 推進する。大和川では下流河道拡幅を重点的実施するほか、国分地区は緊急対策特定区間として用地買収など 集中的な事業展開を図る。六甲山系砂防事業では、流木対策や既設堰堤の補強工事を推進。大和川亀の瀬地す べり対策事業では、国内最大級の深礎工の最後の一基を完成させ排水トンネルなどを継続実施する。 このほか、まちづくりとの連携による都市再生として、八軒家浜(大阪市)で船着場の整備、七瀬川(京都 市)で洪水時に増水した水を下部河川へ導く流入工の整備、一乗谷川(福井県)で築堤や掘削、護岸工事など 推し進める。道頓堀川再生事業では、日本橋の遊歩道整備、北浜から逢阪貯留管、東横堀から桜川幹線の下水 道整備を進める。 淀川水系で事業中の五ダムについて、「丹生ダムは規模を縮小して実施」「大戸川ダムは当面実施せず」「天 ケ瀬ダム再開発は従来計画で実施」「川上ダムは規模を縮小して実施」「余野川ダムは当面実施せず」の方針 が示されているが、今後、流域委員会や住民、自治体などの意見を聞いた上、各ダムの計画内容を確定し河川 整備計画に反映するとしている。
【道路関係】 防災・減災など災害に強い国土づくりとして、地域防災計画に基づき、「道の駅」の防災拠点化を推進。無電 柱化推進計画としては、豊中市内の国道176号他16?で整備する。沿道環境の改善では、国道24号八条坊門立 体交差化、国道1号寝屋川市仁和寺地区の遮音壁設置を進める。高規格幹線道路・地域高規格道路の整備は、 重点的かつ効率的に推進する。東南海・南海地震や都市直下型地震などに備え、2005年度に策定した「緊急輸 送道路の橋梁耐震補強三カ年プログラム」は、来年度までに概ね完了する方針。このほか、CO2削減や大気 浄化(道路緑化、光触媒)に向けた取り組みを引き続き実施する。 さらには、来年度に那智勝浦道路の新宮市三輪崎〜那智勝浦町川関までの約8.9?を暫定二車線で供用開始す るなど、東南海・南海地震などに対応した緊急輸送道路を整備促進を図る。また、引き続き関係機関と連携 し、高速大容量の光ファイバー網を活用した映像情報の共有など、情報のコンテンツを充実させる。
【港湾空港関係】 2005年6月に設置された国際物流戦略チームの取り組みの一環として、阪神港スーパー中枢港湾プロジェクト を早期に実施し、国際競争力強化と、国際・国内一体となったスピーディでシームレスな物流体系の実現を目 指す。具体的には世界トップクラスのコスト・スピード・サービス水準を実現するため、神戸港と大阪港で大 水深岸壁(マイナス16m)を備えた高規格コンテナターミナルの整備を進め、両港の連携強化に向けた支援や 24時間フルオープン化に向けた支援を行うなど、スーパー中枢港湾プロジェクトの推進に取り組む。 大阪港の夢洲から咲洲を結ぶ臨港道路(夢洲トンネル)建設は、来年度も継続実施し、海底トンネル部及び夢 洲側アプローチ部など整備する。東南海・南海地震に対する津波対策では、海岸施設の調査、水門などの遠隔 化、津波防波堤、防潮堤整備などを実施。大阪国際空港は、空港基本施設(エプロン・滑走路)の改良を要 求。
【営繕関係】 防災拠点施設の整備として、大阪第一地方合同庁舎の耐震対策を継続して実施する。既存施設のバリアフリー 化改修整備も引き続き推し進める。
【都市・住宅関係】 都市再生本部決定の都市再生プロジェクトや都市再生特別措置法に基づく都市再生緊急整備地域などに関連す る自治体のまちづくりを積極的に支援する。その主な事業にJR法隆寺駅周辺地区整備(文化財活用センター の整備、JR法隆寺駅前広場の整備)、姫路市都心地区整備(姫路公園の改修事業、山陽電鉄・姫路駅付近の 測道整備)、JR奈良駅付近連続立体交差事業(JR関西線桜井線の高架本体工事、跨線橋撤去工事)、和歌 山大学前駅の建設(軌道敷整備工事、ホーム関系整備工事、橋上駅・自由通路整備工事)、三宮駅周辺の三層 ネツトワーク化の推進など盛り込んでいる。このほか福井市月見みのり下水道総合浸水対を実施。福井豪雨で 壊滅的なダメージを受けた鯖江市・河田地区では、東工雨水ポンプ場整備による水防都市の構築を目指す。