技術の一端を紹介 大阪市立工業研究所は、市内の中小企業をはじめ市内地域工業の発展に貢献す るために、建設・住設関連にも活用できる様々な研究活動を進めている。 また、受託研究制度を用いては、多くの企業が同研究所と共同で技術・製品開 発を行っている。平成17年度に企業との共同研究で製品化された技術の一端を 紹介する。 大阪市立工業研究所は、積水化学工業?と共同研究を行い、液晶ディスプレー 用薄膜トランジスタ(TFT)に使用される感光性を有する絶縁保護膜(パッ シベーション膜)を開発した。この膜は、優れた透明性と絶縁性、紫外線照射 後のアルカリ現象で5 以上の解像度を持ち、アモルファスシリコン(aーS i)TFTへの対応を可能としている。
【写真上】積水化学工業:TFTに使用の絶縁保護膜(TFTの断面図)
また同研究所は、日本化線?と共同で、ポリエチレンに少量の液晶ポリマーを独自の技術を用いて溶融ブレン ドし、ミクロレベルでハイブリッド化することで表面を粗面化した複合樹脂素材を簡便に製造することに成功 し、滑りにくく耐久性にも優れた高性能樹被覆線材を開発した。護岸施設などのフェンスネット等への製品化 に向けて検討している。
【写真下右】日本化線:耐久性にも優れた高性能樹脂被膜(砕石を詰めたフェンスネット) さらに同研究所は、?巴製作所、奥野製薬工業?と共同で、液晶ディスプレー、プラズマ・ディスプレー・パ ネル、太陽電池などに必要不可欠な透明導電膜を印刷法で簡単に形成できるITO(インジウム・スズ酸化 物)ナノ粒子ペーストを研究、開発した。大がかりな装置が不要でプロセスが簡単になるなど、実用性に優れ ている。
【写真下左】巴製作所・奥野製薬工業:ITOナノ粒子ペースト (ITOナノ粒子ペーストによる透明導電膜)