(株)奥村組(奥村太加典社長)と日立造船(株)(古川実社長)、新日本製 鐵(株)(三村明夫社長)の3社は、昨年12月に発表した道路トンネルの新し い分岐合流部の接合工法である「CV拡幅工法を用いた分岐合流部の地中接合 工法」の実用性を高めた。 このほど、CV拡幅工法の特徴であるシールド機の連続可変拡幅テールシール 部の実規模公開実証試験を日立造船の神奈川工場で行い、拡幅・縮幅の作動、 0.5MPaまでの耐水性などを確認し、良好な結果を得ることができたもの。 この「CV拡幅工法を用いた分岐合流部の地中接合工法」は、先行構築された 本線トンネルを拡幅シールド機(CV拡幅シールド機)で直接切断することに より、ランプ部の分岐合流部の接合を行う技術。CV拡幅工法とは、地中でシ ールド機が標準断面から拡幅側に連続的に傾斜拡幅し、所定の拡幅断面形状で 必要な長さを掘進した後、連続的に傾斜縮幅して再び標準断面に戻る機構で、 シールド機のスキンプレートを斜めに拡幅・縮幅できるため、余掘り量を最小 限に抑えることができ、地山の安定に優れている。 また、同工法は道路トンネルのランプ合流部だけでなく、道路トンネルの非常 駐車帯や曲線部の視距拡幅部、共同溝の分岐部、電力洞道のケーブル接続部及 び地下鉄のプラットホームなどへの適用が可能となっている。
実証実験では、実験装置は実機で用いるテールシールを二段設置し(泥水室、パデグリス室、大気室の3室 に分割)、泥水圧を昇圧することによって、耐水圧を確認できる構造とした。また、パテグリスを適宜打ち込 む(充填)とともに、実際の拡幅、縮幅を模擬できるように、スライドバーをジャッキで伸縮(ストローク量 800?)できる機構を設けた。 実験状況及び実験後のデータ分析により?大気圧下においてテールシール拡幅、縮幅作動に問題がない?泥水 圧の昇圧においての耐水圧(最大0.5MPa)を確認?泥水圧下での拡幅、縮幅作動に問題がない?拡幅、縮 幅作動時においてパデグリスの圧力管理により、泥水圧保持が可能―などを確認。さらに、今回の一連の実験 を通して実用化に向けての課題の抽出を行い、実機への適用に対する対応が可能であることも確認した。 奥村組ら3社では今後、地中接合工法全体のさらなる高度化を進め、大深度・大断面を対象とした道路トン ネルの地中接合工法として、3社で積極的に技術提案を行い、実プロジェクトへの営業展開を図っていく考 え。
【写真上:公開実証試験の状況】
【図:CV拡幅工法の概要図】