業界標準へ広くアピール 集合住宅における施工床坪単価を巡る問題で、(社)建築業協会関西支部(BCS関 西、淺沼健一支部長)の、建築積算等に係る問題の調査・要望活動に取り組む積算専門 委員会(委員長=村井登?奥村組関西支社原価部長)は、企業によって施工床面積の基 準が違い坪単価の単純比較ができないという状況を深刻に受け止め、理想的な施工床面 積の考え方という観点から、「BCS施工床」(集合住宅施工床基準案)を策定した。 22日に記者説明会を大阪建設会館で開き、「BCS施工床」が建築業界標準として広く 認知されるよう、アピールした。
【写真:「BCS施工床」パンフレット】
厳しい受注環境のもと、集合住宅に用いられる施工床坪単価を巡る動きは深刻だ。施工床の建築業界標準が ない中で、近畿圏のゼネコンの多くが独自に施工床の基準を定めているという。例えば、バルコニーやピロ ティといったところは法定延床面積から省かれいるが、企業によってはバルコニーや玄関ポーチを加え、吹 抜部分ではそこに床があると見なして施工床面積に加えるなど工夫を見せている。結果、坪単価の格差が生 じている。積算専門委員会の話では、「デベロッパーは発注時に各社の施工床の坪単価を比較して検証し施 工会社を決める」と。従って自然的に施工床の建築業界標準の必要性が意識される。こうした背景をもとに 同委員会は、施工床の業界基準を統一しようと考え、2004年度から理想的な施工床の策定を目的に取組に着 手。2005年度はデベロッパー26社へのヒアリング調査を実施。「26社で20%前後の法定延床面積の差があ る」と報告。その調査結果を様々な角度から分析し、施工床の標準ともいうべき「BCS施工床」を策定し た。 「BCS施工床」では施工床の建築標準を36項目に分けて、それぞれに簡略図とBCS施工床の算入コメン ト、法廷延床面積とBCS床に算入する「○」か算入しない「−」を表記して、分かりやすく紹介してい る。同委員会では「BCS施工床」を会員各社(67社)への採用、各社内での浸透をめざす。また、集合住 宅にかかる事業主、設計事務所、積算事務所、施工会社への理解を求めて働きかけを行うとしている。「B CS施工床」はBCS関西のHP(www.bcs-kansaisibu.com)で公開している。 積算専門委員会=積算業務の合理化や数量公開の一般化に向けて調査・要望活動など実施。公共工事の入札 時における採算性の実態を把握し発注者に積算の適正化を要望する調査など内容。また、見積・積算業務の 効率化に向けて中間規格として提唱した「BCSCSV」は関係方面から高い評価を得ている。市販されて いる見積ソフトの殆どが「BCSCSV」対応済み。今後の活動テーマには民間工事の数量公開を目的とし た積算費用の認知策などをあげている。