松本、松村ら12社で研究会発足 地下水汚染を早期、低コストで浄化 村本建設(株)ら12社では、かねてより開発を進めていた特殊スリット管を用いた大口 径水平井戸築造工法「マルチ水平ウェル工法」が実用化したことを受け、同工法の普 及、発展をめざして「マルチ水平ウェル研究会」を設立した。会長は村本建設の倉田 淳・取締役土木部長。 同工法は、既存建物下において、揮発性有機化合物(VOC)等で汚染された地下水を 早期に浄化する方法として、汚染土壌中に水平方向の井戸(揚水井戸、復水井戸)を築 造し、揚水した汚染地下水を地上で浄化し、その処理水を復水させることにより、VO C等の濃度を低下させることを主眼に開発された。
実施にあたっては、新たに開発した復水方式移流拡散解析を用いて最適な井戸配置を提案し、工場を稼働させ ながら「施設直下のVOC等の地下水汚染浄化を『短期間・低コスト』で実現したい」というニーズに応える ことが可能となっている。 さらに、基本要素技術であるスリット管推進工法を活用した「地下水位低下工事」への適用も可能。具体的 に、樹木の根腐れ防止や地滑り防止水抜き対策などの地下水位低下工事においても、地上の状態に関係なく、 その直下に大容量の水平井戸を容易に設置できる。 また、特殊スリット管はFRPM製で耐薬品性に優れている。水溶性目地材がスリット内に詰め込まれてお り、管の設置中は完全に止水状態だが、設置完了後は水溶性目地材が地下水に溶けてなくなるので、スリット が復元し水平井戸として機能します。 同工法の主な特徴は(1)既存建物下でも確実かつ効果的に早期浄化を実現(2)循環型システムにより環境 負荷を低減(3)省スペース・複数築造で低コスト(4)効率的な地下水位低下工事を実現―など。 なお、18日には同研究会の設立総会が大阪市内のホテルで行われ、倉田会長をはじめとする役員を選出した。 総会前の記者発表の席で倉田会長は「環境に優しい社会の実現をめざし、同工法が汎用的な地下水浄化工法と して広く活用されるとともに、会員12社の技術を吸収、向上させて普及と発展に努めたい」と抱負を述べた。 会員企業と主な役員は次のとおり。 ▽特別会員=栗本化成工業(株)、(株)ベストエンジニアリング、(株)ピーエス三菱、真柄建設(株)、 (株)松村組、村本建設(株)、(株)森本組 ▽正会員=太陽エンジニヤ(株)、馬淵建設(株)、みらい建設工業(株) ▽賛助会員=(株)ナガオカ、日精(株) ※役員 会長=倉田淳・村本建設(株)取締役土木部長▽副会長=北野辰美・(株)松村組執行役員土木本部長、同= 竿田浩一郎・(株)ピーエス三菱土木本部土木統括部土木部長▽幹事長=大岩忠男・(株)松村組土木本部土 木技術部長