

まちなかのオープンスペースとしての川づくりを考える「川づくりフォーラ ム」(子どもにとって、大人にとっていい川とは?)が16日、大阪市中央区 のOMMビルで開催された。フォーラムでは、基調講演とパネルディスカッ ションが行われ、いい川づくりに向けた行政の取り組みやNPOによる活動 報告が行われた。主催は近木川流域自然大学研究会と貝塚市立自然遊学館、 大阪府の後援。 フォーラムは、川における活動形態は様々であり、川と身近に接する地域の 方々の意見を聞き、人と川の関係についての再構築ができればーと、今回は 貝塚市の近木川での取り組みをメインとして行われた。初めに‘いい川づく りの取り組み’をテーマに、近畿地方整備局淀川河川事務所の小俣篤所長が 基調講演を行った。小俣所長は、河川事業に携わっている経緯を踏まえ、 「川にとって自然が大事であることを認識した」と述べ、いい川とは、人が 遊べる、自然が豊かな川のイメージがあり、「子どもにとって遊び場だった 時代、昭和初期のイメージが強い」とした。 現在の河川状況については、高度成長期以後、安全性と利便性が追求され、 3面張りなどの護岸工事が盛んに実施されたとしながら、今後の河川整備の あり方については都市の大河川と地元の小河川では、それぞれ地域との関わ り方に違いがあり、「各河川の歴史と生態系をよく踏まえることが大事」と した。
子どもの遊び場としての河川は「決して安全ではない」ことを大人が理解する必要性はあるが、できるだけ 河川のことをよく知る努力も必要とし、安全に遊べる場づくりの努力は続けていくとしながらも、「淀川の ような大河川は地域にとって親しみにくい状況となっている」と指摘した。 河川整備については、2006年に「多自然型川づくり基本指針」が策定され、これまで護岸による河川改修事 業にウエイトが置かれてきたが、現在では「護岸はひとつのパーツ」と整備の方向性が転換し、「自然を基 調としたもの」が整備の中心になってきたとした。 この中では、従来の川幅拡幅より川床幅を充分に確保する「川にとっては川床が重要」との考えで川づく りを行うこととされた。小俣所長は、「いい川との問いに対する正解は1つではない」とし、「川に学ぶ社 会」づくりを目指す必要があるとした。 基調講演に引き続き、京都大学工学研究科都市環境工学専攻の神吉世子準教授が「近木川と子どもたち」と 題し、同川で実施された住民らによる活動についてを報告。二級河川ではかつて水質汚濁がワーストワンで あった近木川で、ワンド工事などによる水質改善活動や小学生による環境学習の活動状況についての経過と 今後の取り組みなどについてが報告された。 この後、嘉田良平・横浜国立大学大学院教授をコーディネーターに、小俣所長、神吉準教授、NPO法人・ 人と自然とまちづくりと理事長の横山あおいさん、大阪府都市整備部河川室河川環境課の山田順一課長をパ ネラーとしてのパネルディスカッション‘人と川のいい関係’が行われた。