神戸の代表的な異人館 神戸市の国指定重要文化財である「旧ハンター住宅」(神戸市灘区青谷町1 −1−4・王子動物園内)の一般公開が行われている。かつてイギリス人の エドワード・ハズレット・ハンター氏の住宅で、神戸の代表的な異人館であ り、明治中期における富裕な外国人の生活様式がうかがえる建物で、細部に まで行き届いた意匠は、同時代の最も優れた異人館と評価されている。 旧ハンター住宅は、中央区北野町三丁目に建築され、1963年9月に現在地に 移築されたもの。確かな建築年月は不明とされているが、1889年頃にドイツ 人のA・グレッピー氏がイギリス人技師に依頼して作ったものといわれてい る。その後、1907年にハンター氏が住居として買い取り、元トーア・ホテル の跡地に移築・改造したもの。建物は、木骨れんが造2階建て一部3階塔屋 付で、1階延べ263・749?、2階同273・499?、3階(塔屋)同9,023?の総 延べ546・271?の規模。基礎は石造り、外壁はモルタル櫛目引で、寄棟石綿 スレート葺の形式。 ベランダは南面と東面にめぐらされた重層のコロネード(列柱式)とし、そ の張り出し部の上部の三角形のぺジメント(切妻)には棟飾りや唐草模様の 装飾が施されており、ベランダは当初、開放されていたが日本の風土に適さ ないことから、窓がはめ込まれた。
内部は、1階に書斎と応接室、食堂、2階に寝室三部屋と居間、浴室を配置。各室の出入口にはブローク ン・ペジメントと呼ばれる額縁をはじめ、大理石のマントルピースやブロンズのシャンデリアを備え付けた ほか、床材にはチーク材を、また階段踊り場バランス窓にはイギリスから取り寄せた美しい色模様のステン ドグラスを使用するなど当時の豪華さ残している。 現在地に移築後は、神戸市が所有、1964年に兵庫県の重要文化財に、1966年6月に国の指定重要文化財に、 それぞれ指定された。阪神・淡路大震災では、れんが造の煙突2本のうち一本が折れ、室内に落下し東広縁 部全体が崩壊するなど大きな被害を受けたが、被災部分を一旦、解体し、補修後に組み直し、煙突の復旧と 内壁に塗り替え、建具補修を行っている。 今回の館内公開は30日まで。時間は9時30分から14時30分。問い合わせは、神戸市教育委員会文化財課(電 話078−322−5798)まで。