兵庫県では、尼崎の森中央緑地海辺エリアの整備計画について再検討を実施する。現計画を幅広い観点から 見直し、整備計画全体の再検討を行うもので、再検討にあたっては、土壌調査の結果を踏まえて検討を進め るとしている。兵庫県では、「尼崎21世紀の森構想」を先導する拠点地区として、2004年1月に「尼崎の森 中央緑地基本計画」を策定し、「尼崎の森中央緑地」の整備を進めているが、このうち緑地南端の「海辺エ リア」では、既存護岸の内側に掘り込んだ海浜を計画している。しかし、構造物に囲まれた閉鎖性の高い海 浜では、海水交換が悪く、有機物の蓄積により水質浄化機能の低下が報告されていた。 このため、特に閉鎖性の高い同地域では、それらと同様の状況が生じないような整備が必要とされ、また、 海辺エリアの整備に係る概算事業費も多額となることから、より効率的で効果的に「生物多様性保存の場の 創出」を図るためには、コストを抑制しながら、実効性のある整備計画が必要とされた。 これらのことから県では、基本計画の基本方針に立ち返り、掘り込み型の海浜に捉われず、既存護岸の外側 に磯場を創出するなどの幅広い視点から、整備計画を再検討することにしたもの。さらに整備に先立つ土壌 調査で汚染が確認されたことから、再検討に際しては、その対応を含めて、県民が安心して快適に利用でき る整備計画となるよう検討を進める。 再検討にあたっては今後、学識経験者や県民代表、行政関係者らで構成する「尼崎の森中央緑地海辺エリア 整備計画検討委員会(仮称)」を設置して行う。また、再検討に伴う汚染への対応の必要性、工法等につい ては別途検討を行う予定としている。 なお、土壌調査では、鉛やフッ素など六種類の物資が指定基準を上回っていることが確認された。しかし、 当該地域は一般の立入が制限されており、周辺地下水の飲用利用がないことから、健康被害の恐れは無いと しており、前面海域での基準値超過は無かったとしている。