2009年3月に完了 兵庫県では、移設保存工事を実施している平木橋の移設工事を現場見学会を 7日、加古川市市野町水足の現地で開催した。東播磨南北道路建設に伴い、 近代土木遺産として歴史手価値が高いことから移設保存するもので、主構造 である輪石が組みあがったことから、移設保存方法を知ってもらうことを目 的に一般公開したもの。工事の完了は2009年3月25日を予定している。 平木橋は、高欄付の単径間煉瓦壁石造拱橋で、花崗岩の輪石を長手、小口と 交互に積み重ねたアーチと、煉瓦を長手、小口に交互に組み合わせたイギリ ス積みで橋壁を形成し、その上に通水路を設けた通水橋。1911年に始まった 山田川疎水事業の一環として、平木池に送水するため、1915年に完成した。 移設保存工事では、輪石自重による相互摩擦抵抗力で安定している構造のた め、解体工事ではアーチセントルと呼ばれるアーチ状の鋼製支保工を設置し て、水路部から煉瓦と輪石を順次、解体し、解体後は逆の手順で組み立てて ていくもの。
解体工事では、アーチセントル上に多数のジャッキを設置して輪石全体を均等に持ち上げて摩擦力をなく し、中央の要石から順番に輪石を取り外し、煉瓦は目地部をワイヤーソーで1トン程度の大きさに切断して 取り外すもので、煉瓦水路部は28ブロック、輪石は44ブロック(88個)に分けて実施された。このほか工事 に際しては、解体前にレーザー光線による三次元測量を実施して記録し、組み立てでは細部寸法をもとに忠 実に復元作業を進めることとした。橋は、全長27.1m、橋長(アーチ支間長16.2m)、アーチ高さ3m、幅 員1.2m、水路断面600?×600?のもの。 見学会では、輪石が組み上がった状態で披露され、参加した市民らは足場に登ったり、英字の刻印がある銘 板や煉瓦ブロック前での記念撮影などを楽しんでいた。また、東播磨県民局加古川土木事務所らの職員が工 事概要などの説明を行った。平木橋の移設保存は、東播磨南北道路の建設計画に伴う環境影響評価の中で適 切な処理が提起され、2001年には土木学会の日本の近代土木構造物2000選に選出され、翌年には近代土木遺 産に指定されたことから、保存への要望が高まり、学識経験者らで構成する保存検討委員会で協議が重ねら れ、2006年に現在地である「前の池」への移設保存を決定したもの。 移設工事は、今年3月に着手、解体作業は7月から10月に行われ、今回の輪石構築は今月2日に完成した。 工事は前川建設が担当。移設後は、加古川市が水不足と闘った地域の歴史を象徴するシンボルとして維持管 理を行うとともに、有形文化財の指定を目指すとしている。