
玉井社長、鴻池会長は特別顧問に (株)鴻池組(大阪市北区)では、蔦田守弘・常務執行役員大阪本店統括を代表取締 役社長に昇格する役員人事を内定した。28日に開催される株主総会後に正式決定す る。建設業を取り巻く急激な環境変化に対応するため「若返りを図った」としてい る。17日に本社で会見した蔦田常務は、「収益性を重視した経営を目指す」と抱負を 語った。玉井啓悦社長と鴻池一季会長は特別顧問に就任する。 就任にあたり蔦田常務は、「継続性のある経営とするため収益を重視した経営を目指 す」とし、従来、規模を守るため厳しい仕事に挑戦してきたが、「これを厳に戒め、 収益の見込める工事に対して経営資源を集中させる」と強調した。
今後の方針では、公共工事については、建築・土木ともに、「総合評価方式への取り組みの強化」を上げ、 得意分野である土壌浄化に関しては、「前面的にアピールしながら積極的に営業展開を図りたい」とした。 建築工事では、「一番、成果が上がっている」とする設計・施工案件とともに、主要取引先からの特命案件 に「引き続き力を入れたい」とした。 また、現場の収益力向上として、社内的なVEや工事計画の事前検討、原価の重複チェックなどにより、 「受注後の原価の回復力を高めたい」とし、経費削減のさらなる見直しのほか、購買力強化のため、商社や 協力会社とタイアップして強化と増強を図りたいとした。 今回の社長交代について玉井社長は、前期から取り組んでいる3カ年の経営計画の当初目標に達成の目途が 立ったことに加え、金融危機が表面化する中、「先行きが見えない厳しい状況の中では、トップは中長期的 にものを考える必要があり、私自身の年齢的なこともあり若い人へのバトンタッチを考えた」とした。 蔦田常務については、東京・大阪の支店長経験者であり、「行動力と判断力に富み、現状を打破できる」と 評価、また、土木本部長と東京・大阪両本店長、名古屋支店長の基幹部門の各トップと「同じ年であり、彼 らとともにやっていけるのでは」と期待を寄せた。社長への要請にあたり蔦田常務は、「当初は不安もあり 固辞した」としながら、会社を若い世代に託したいという社長の想いと、「同世代と力を合わせ、会社を発 展させたいとの考えでお受けした」と受諾への決意を語り、経営にあたっては「私一人ではできず、私の世 代と、その下のもっと若い世代に光をあて、活躍できる場を設け、全体のモチベーションを高めていきた い」と決意を語った。 蔦田守弘 つただ・もりひろ1977年3月名古屋工業大学工学部建築学科卒業、同年4月鴻池組入社、2001年1月大阪本 店建築部長兼建築技術部長兼設備部長、2006年4月同副本店長(建築工務担当)兼建築部長、2005年11月執 行役員、2007年4月東京本店副本店長(建築担当)、同10月東京本店長、同11月常務執行役員、2008年10月 大阪本店統括。座右の銘は「信賞必罰」。趣味はゴルフとウォーキング、特技は「米作り」。天理市出身、 53歳。