

デザイン都市・神戸の一環 神戸市では、六甲山トンネル料金所跡地の整備にあたり、「六甲山トンネル 南口再整備デザインコンペティション」を実施していたが、このほど最優秀 賞はじめ入選作品を決定した。最優秀賞には畑友洋さん(畑友洋建築設計事 務所)が選ばれたほか3点(5人)が入選した。表彰式は1日、ハーバーラ ンドで開催された「KOBEデザインフェスタ2008」で行われ、矢田立郎市 長から賞状が手渡された。 このコンペは、神戸のすばらしい資源や魅力を、デザインという観点で見つ め直し、磨きをかけることにより新たな魅力と活力を創出し、くらしの豊か さを創造する都市戦略「デザイン都市・神戸」の取り組みの一環として‘環 境をテーマとした修景デザイン‘を募集したもの。 六甲山有料道路のトンネル料金所の統合により廃止された南側料金所の跡地 を、神戸の象徴である六甲山へ誘い、六甲山の自然環境の保全を象徴する場 とするために、六甲山の眺望や景観と調和し、自然環境の保護や地球温暖化 防止等の啓発の対象となるもので、市民の財産である六甲山へ多くの人々を 誘うデザインを求めた。
コンペには、54人の応募者から56点の作品応募があり、遠藤剛生・神戸芸術工科大学教授を審査委員長とす る審査委員会で選考を行い、畑さんの作品「バード・シティ」を最優秀賞に決定したほか、入選作品3点を 決定したもの。 バード・シティは、六甲山に生息する多様な鳥たちのミニチュアの町とし、六甲山の豊かな自然と生態系の 一部分を可視化、象徴しながら、「その尊さを個人個人が親しみを持って感じ取れる、環境へのさりげない 啓発の場ともなる」ことを趣旨としている。 造形では、周辺街灯や交通標識ともなじむよう。細い鋼柱のみを設置し、そこに多様なバード・ハウスを 執り付けるというシンプルなものとし、地元の小学生はじめ、多くの市民がバード・ハウスを作成すること も可能で、「多くの方々の思いによってバード・シティを創っていくことができる」とした。 遠藤委員長は、入選作品について「それぞれが自然環境保護や地球温暖化などに対する啓発方法として、さ まざなアプローチを試みている点がおもしろい」とし、畑さんの作品に関しては、六甲山の玄関口を「バー ド・シティ」で出迎えるという発想が良く、廃材の利用をはじめとした予算面、また維持管理面でもよく考 えられており、料金所跡地の更地にふさわしく、「ここから新しい物語が始まる場としての力を感じた」と 講評している。 なお最優秀作品については今後、神戸市道路公社が実施設計と整備工事を行い、2009年春の完成を目指す。 一方、表彰式は1日、ハーバーランドスペースシアターで開催された、KOBEデザインフェスタ2008の席 上で、神戸市が実施した他のデザインコンペの表彰式とともに行われた。このフェスタは、デザイン都市・ 神戸の取り組みを紹介するイベントで、今回のコンペ作品はじめ、他の入選作品も展示された。 開会挨拶で矢田市長は、 「暮らしやまちづくりにおいて、創造性のあるものをつくっていかなければ地球環境保護や暮らしを支える ことも難しくなる」と生活や環境保護に役立つデザインや創造の重要性を指摘しながら、神戸市がユネスコ の「創造都市ネットワーク」のデザイン都市として、名古屋市とともに「アジアで初めて認定された」こと を報告、「今後も、ものづくりやまちづくり、暮らしの豊かさを求めていきたい」と呼びかけた。 この後の表彰式では、矢田市長から各入選者に対して賞状などが手渡された。