地域企業の環境整備を訴え 近畿2府4県と福井県の各建設業協会で構成する近畿建設業団体協議会と国 土交通省とが、公共事業の諸問題について意見交換する「2008年度近畿ブロ ック会議」が20日、神戸市内のホテルで開催された。会議には各協会の正副 会長並びに、社全国建設業協会の淺沼健一会長、国交省からは小澤敬市・建 設流通政策審議官、関克己・大臣官房審議官、木下誠也・近畿地方整備局長 らが出席し、協会側からの提案議題について話し合われた。 会議では、初めに協議会を代表して幹事を務める兵庫県建設業協会の岡繁男 会長が挨拶。岡会長は、厳しい環境の中、地域の有力企業が倒産や廃業に追 い込まれていると地方の実情を述べながら、「我々としても、地域建設業の 役割を住民に説明し、必要な予算確保や適正な入札契約制度の実現に向けて 努力していく」と、課題解決に向け実り多い会議であることに期待を寄せ た。 国交省側からは小澤審議官と関審議官、木下局長が、それぞれ挨拶。小澤審 議官は、「建設産業が地域を支える基幹産業として認識してもらえるよう環 境整備に努力したい」としたほか、関審議官と木下局長も、地方企業におけ る経営環境の厳しさについての認識を示した。
全建の淺沼会長は、地方企業の疲弊は「地域ひいては国全体の活力の衰退につながる」とし、自然災害への 対応や地域インフラの維持管理における地方企業の役割を述べながら、問題解決へ官民が意識を共有して取 り組んでいく必要があると呼びかけた。 挨拶の中で小澤審議官は、現下の課題として建設投資の急速な縮小と金融問題、発注行政のあり方に言 及。 建設投資に関しては、来年度予算案でのマイナスシーリング5%について「公共事業の削減は限界にきてい る」として2%枠の撤廃を求めていくとし、金融問題では、貸し渋り等への対応として国交省独自の下請セ ーフティネット保証制度の活用を訴えた。発注行政のあり方については、「適正利益のでる発注方式への要 望が多い」とし、直轄工事でのスライド条項適用など、同様の措置が取られるよう市町村に対して通達して いるとした。 関審議官は、「採算性の確保は当然」とした上で、生産性の向上を目指した総合評価方式の実施、基準価格 の見直し等の取り組みで成果が上がってきているーとした。また木下局長は、11月に開催予定の近畿発注者 協議会において、市町村を含め発注方式の改善を要望するとし、不良不適格業者排除に向けた法令遵守ガイ ドラインの徹底を訴えるとした。 この後の会議では、 ▽公共事業等投資的予算の確保等や社会資本整備の積極的な推進(和歌山) ▽地域企業の育成と受注機会確保(滋賀・京都等) ▽単品スライドにおける受注者負担軽減と市場価格を反映した設計単価の設定(大阪) ▽ワンデイレスポンス等の徹底(京都)ーなど、各協会からの提案議題について意見が交わされた。