府は「ニュートラルの立場で」 大阪府の橋下徹知事は、このほど開催した経営企画会議で府庁舎の在り方に ついてを協議した。WTCへの移転を含め、建て替えなど3つのケースを比 較検討したもので、移転による効果や移転に伴う跡地利用などに関して意見 交換が行われ、府としては3つの案に対して「ニュートラルな立場で」との 考えを示しながら、9月議会である程度の議論する考えとした。 府庁舎の在り方については、橋下知事が府庁のWTCへの移転を打ち出した ことから、大阪の将来像を視野に、改めて府庁舎のあり方を含めた土地利用 について、ケース?「本館耐震補強と庁舎集約」、ケース?「建替え」、ケ ース?「WTC移転」の3つの案にまとめ比較検討を行うもの。 ケース?の本館耐震補強と集約庁舎は、本館全体を耐震補強して使用しなが ら、小規模な庁舎を集約庁舎としてPFI手法により南地区に建設、民間ビ ルに分散している部局を集約。施設移転などによる土地活用収入を集約庁舎 の財源に充当、防災センターを新別館北館に整備する。
ケース?の建替えでは、南地区に行政・議会棟として、PFI手法により新庁舎を整備、本館は保存分のみ 耐震補強を実施して府民が利用する施設として活用。新庁舎を軸に周辺エリアを官民協働でまちづくりを行 う、防災センターは新庁舎に整備する。 ケース?のWTC移転では、行政・議会機能を移転、本館は保存部分のみ耐震補強を行う。現庁舎エリアは 民間主導でまちづくりを実施、土地活用による収入を移転財源に充て、防災センターはWTCに整備する。 このうち、府庁舎の整備については昨年5月に策定された「建替え等の基本的考え方(案)」の中で、「本 館は保存し、府の貴重な財産として有効活用する」とされ、耐震補強工事により引き続き庁舎として活用す ることとされ、公募型プロポーザルで特定された松田平田設計が、今年度中には基本設計と実施設計を終え る予定。 WTCへの移転に関しては「道州制」を睨み、「州都としての拠点に」との含みもあり、経営企画会議で は、3案の比較とともにそれについての意見も出された。WTCへの移転については、「庁舎が動くことに は大きなインパクトがある」「州都を決めていかせるための仕掛けに」「防災上の視点ではWTC自体は大 丈夫」との意見が出た反面、「市役所の同時移転とは言わないが、一緒に考えないとインパクトがない」 と、大阪市との関係も含めた議論が必要との見方も示された。 橋下知事は、「咲洲の活性化は府民にプラス。ケース?・?ではそういった変化がない。また耐震補強で使 い続けるのは不毛に思える」とし、逆に大手前周辺は府庁がないと沈滞するのかと問いかけた。これに対し ては、「跡地開発や利用には歴史にふさわしい開発規制‘しばり‘が不可欠で簡単には売却できない」、 「永らくパブリックスペースであり続けたエリアにマンションが立地してもいいのか」など、歴史的観点や 都市計画の視点を踏まえるべきとの指摘がなされた。 会議では、「ある程度の方向性を出す時期で、ニュートラルに府民向けに議論を求めては」とされ、タイム スケジュール上、「9月議会である程度方向性を出してもらいたい」との方向で、橋下知事が、「議会の意 見も踏まえていずれ1つに決める。議会への提示にあたっては、3案ニュートラルということでいく」とし た。 経営企画会議は、知事の意思決定をサポートするため、知事はじめ副知事、危機管理監、水道企業管理 者、教育長、政策企画部長、総務部長をコアメンバーとして、知事が指定する審議案件に対して、所管にか かわらず自らの見識に基づき、自由で率直な意見を交換するためのもので、「大阪維新」プログラムで設立 が打ち出されていた。8月7日に1回目を開催、今回は同29日に開催された。