シャープなど工場進出相次ぐ 大阪湾ベイエリアが活性化してきた。シャープが堺市に進出を決めて以降、 各企業の工場や研究所等の立地が相次ぎ、特に堺・泉北エリアでは、シャー プはじめ15社の投資額は約1兆円に上っている。この背景には、大阪府の企 業立地促進補助金(先端産業補助金)制度の活用も寄与、ベイエリア全体で は約1兆6千億円の活発な投資が、今後の大阪経済をリードするものとの期 待が高まってきている。
堺・泉北エリアに進出している企業は、シャープはじめ、大日本印刷、凸版印刷、コーニングジャパンなど 15社で、堺二区に立地するもの。投資額では、シャープは液晶工場と太陽電池工場で4520億円、大日本印刷 が435億円、凸版印刷は420億円、コーニングジャパンで900億円となっており、全15社では約1兆円に達す る。これら企業の施設は、いずれも2010年3月までに稼動を開始する予定だ。 隣接する堺7−3区には、宇部興産が約80億円を投資して工場を建設、今秋の稼動を目指すとともに、コス モ石油では約100億円を投資して、2010年4月の稼動へ向け工場を建設中。高石市では、三井化学の工場と研 究開発施設が稼働中。 大阪港でも、此花区で住友電気工業が研究開発施設を立地、投資額80億円で21年4月の稼動を目指す。住之 江区では、旭硝子の工場が既に稼働中。さらに同区では先頃、関西電力大阪発電所跡地に松下電池工業が、 リチウム二次電池工場の建設を決定。約1千億円を投資して延べ15万?の先端工場を建設する。また、岸和 田市では、大阪チタニウムテクノロジーズの工場・研究開発施設が来年秋頃に稼動を予定(投資額124億円) しており、貝塚市でも、三洋電機が二色の浜で工場を稼動させ(同20億円)、貝塚事業所では工場・研究開 発施設(同70億円)が今年10月にも稼動する予定。 これら企業の立地を促進するため大阪府では、先端産業補助金を交付している。これは、バイオ・ライフサ イエンス、ロボット、情報家電、新エネルギー分野のうち、先端的な事業と認める工場又は研究開発施設の 新設を行う企業に対して、1年間に6億円を限度として複数年度で支払うもの。補助対象地域は、堺浜南地 区(堺市)、住之江区平林北地区(大阪市)、彩都ライフサイエンスパーク(茨木市)ら。 これまで補助金を交付された主な企業は、旭硝子(2006年7月)、住友電気工業(2007年3月)、三井化学 (同5月)、シャープ(同12月)、コーニングジャパンと大日本印刷(2008年1月)、凸版印刷(同2月) など。 このほか、堺線北港の堺2区では、国土交通省が広域防災拠点の整備として耐震岸壁と臨港道路を整備中 で、これら施設も平時には交通輸送の動脈として活用でき、また、夢咲トンネルも2009年度に開通を予定す るなど、インフラ整備も着々と進んでおり、今後、大阪湾ベイエリアが一大物流拠点として関西活性化に大 きな役割を果たすことになる。