三田建設技能研修センターで開催、高校生11名が参加 (社)大阪建設業協会(奥村太加典会長)では、高校生を対象とした「2008 年度夏休み体験セミナー」を5日から7日までの3日間にわたり、兵庫県三 田市の三田建設技能研修センターで開催した。若年者に対する入職促進活動 の一環として、同協会労働委員会が主催したもので、セミナーには大阪府下 の4校から11名の生徒が参加、現場見学会や型枠・鉄筋の実習、建設重機の 運転などが実施された。 体験セミナーは、優秀な人材確保が重要な課題となる中、学校における技能 教育時間の不足や企業単位での人材育成が困難な状況にあるため、現場見学 会やインターンシップを通して、建設業に対する理解を深め、今後の進路に 対する参考にしてもらうことを目的に実施された。 セミナーの初日となった5日には、9時過ぎから開講式が行われ、主催者を 代表して労働委員会委員長の土井克保・淺沼組常務執行役員が挨拶。土井委 員長は、団塊世代の退職により技能と技術の継承が課題となっているとし、 「建設業は危険・きつい・汚いの3Kと言われているが、物を造る、建物を 造るというやりがい、達成感も味わえるのが建設業の良いところだ」と語 り、今回のセミナーを通してそれらを実感し、また「一つの工事に多くの人 達が従事していることを感じ、建設業を理解してほしい」とセミナーの成果 に期待を寄せた。
この後、同研修センターの中谷一彦所長による講話と、鴻池組が施工中の国立兵庫中央病院病棟等建替整備 工事の建築現場を見学。このうち中谷所長は、‘〜阪神・淡路大震災に学ぶもの〜大震災時における街の復 旧、復興と危機管理’をテーマに、自身の体験を踏まえて講話を行った。 中谷所長は、消防署員として携わった震災での救助活動での体験を基に、危機管理の重要性や非常時におけ るリーダーシップの在り方、また復興過程での建設業の活躍、センター受講者から寄せられた難工事の経験 談などを紹介しながら、「建設現場はそれぞれ条件が異なるが、それに挑戦する建設人がいることを忘れな いでほしい」とした。 午後からの現場見学会では、初めに作業所の4家伸夫所長から、工事全体の概要説明などを受けた後、作業 所内を見学。同工事は、RC造五階建て塔屋一階、延床面積1万4,648.24?、病床500床の病棟建築工事で、 平成19年12月に着工したもの。現在では、2階部分の型枠工事が行われており、生徒らは4家所長の案内と 作業内容の説明を受けながら、作業所内をつぶさに見て回った。なお工事は、2009年1月31日の竣工を予 定、現在の進捗率は約24%で、3万7,000時間に及ぶ無事故・無災害記録を継続中。 2日目となる6日は、鉄筋施工と型枠施工の組立て作業を体験。それぞれの作業に必要な施工図作業ポイン ト等について説明を受け、実技教材をモデルに実際の組立て作業に挑戦。生徒は講師の指導を受けながら、 熱心に取り組んでいた。 最終日の7日は、ブルドーザとバックホウの運転を体験。各重機の構造や機能、取扱い点検などの要領と、 走行・掘削はじめ、運土や盛土、埋戻し、積込と排土などの操作を行った。終了後はセミナーの感想文の作 成と発表、終了証の交付が行われた。 今回の体験セミナーは大建協では初の試み。協会事務局によると、インターンシップや見学会などを実施し ている建設業協会は多いが、「見学会と実技、重機操作を一度に体験できる機会はなく、来年度以降も実施 していきたい」と話している。