地元親子らが参加、国内最大規模のコンクリート製円筒ケーソン 兵庫県が、川西市内の浸水被害軽減を目的に、2004年から工事を進めていた 「寺畑前川洪水調節池」がこのほど完成し5日、地元住民を対象とした親子 現場見学会が開催された。施設はコンクリート製円筒ケーソンで、自動化オ ープンケーソン工法で施工されたものでは国内最大の規模で、見学会には41 人が参加した。ケーソンの施工は大林・鴻池・大豊・新井特別JVが担当し た。 見学会は、調節池が暫定供用を開始し、現在、実施されている蓋架工事によ り内部が隠れてしまうことや、イメージアップ対策として工事仮囲いへ飾る 絵画を描いてもらった地元小学生らへの協力に対する感謝の意味も含め、県 土整備部宝塚土木事務所が開催したもの。 2回に分けて行われた見学会では、初めに宝塚土木事務所の岩間秀樹・河川 対策室長が、見学会開催の趣旨説明と工事協力への感謝の言葉を述べた後、 担当者による事業概要と施設の役割などについての説明が行われた。 現場 では、職員の案内により洪水調節池の本体となるコンクリート製円筒ケーソ ンを見学。参加者はビデオやカメラで記念撮影を楽しんだほか、ケーソン上 部から底までテニスボールを落下させ実際の大きさを体感した。
ケーソンは、外径35m、内径30m3、内空高H29.5m、ケーソン躯体高H44.7mの規模で、自動化オープン ケーソン工法で施工されたケーソンとしては国内最大のもの。貯留量1万9.400立方mは、25mプールで約65 個分に相当する。 この事業は、川西市で最明寺川と合流し、猪名川に流れる淀川水系畑前川の洪水被害に対処するため計画さ れたもの。特に1997年8月の集中豪雨時には、床上・床下浸水被害が約260戸発生したほか、道路冠水なども 頻繁に発生するなど、その対策が急務なものとなっていた。 このため兵庫県では、同年の洪水規模である10年に1回程度の洪水に対応するための治水対策として、調節 池による一時貯留を目的に2003年度から事業を実施してきた。事業に際しては、2000年度に学識経験者や地 域住民、水利関係者などによる「寺畑前川川づくり懇話会」を設置し、検討を行った。 計画では、最明寺川に係る井堰を改築して約70?の段差を解消するとともに寺畑前川の河床を約70?切り下 げて河道断面を確保。調節池と横越流堰を設置して流水を一時的に貯留することで洪水を防ぐもの。 事業は、「寺畑前川床上浸水対策特別緊急事業」として2003年度に着手され、ケーソン築造工事は、2004年 3月10日から2007年6月30日まで行われた。また導水路は、ボックスカルバート工として延長120.1mで、こ のうち36.4mにわたり横越流部を設けた。現在では、蓋架工事のほか、水中ポンプはじめ洗浄設備、給排気 ファン、受変電設備などの電気機械設備を実施、蓋架け工事な11月の完成を目指している。 なお、事業全体の完成は来年春を予定しているが、調節池と導水路がつながったことから、事業効果の早 期発現のため、出水期である6月から暫定供用を開始している。