建替事業は原則中止に、賃貸事業と組織を見直し 大阪府住宅供給公社はこのほど、府住供の自立化に向けた10年の取り組みをまとめた。公的機関としての役 割を果たしながら経営改善に取り組み、最終的には資金調達や経営企画の力を備えた自立した経営体を目指 すもので、取り組みでは、「組織自立化推進計画」と「賃貸住宅中期管理計画」を両輪として進めていくこ としている。 府住供ではこれまで、「新経営計画」(2004年9月)や「新経営計画の検証と対策」(同18年11月)で、公 社の経営改善に向け「借入金の着実な減額」への取り組みを実施、また、平成19年には大阪府が設置した公 社のあり方検討会で、経営企画力の向上はじめ、組織の効率化や業務の外部化など、自立的で機動的な事業 運営を可能とする組織改革に取り組んできた。 今回の取り組みは、大阪府が策定した「大阪府財政再建プログラム(案)」で、建替計画の見直しや人件費 削減等により計画的に債務の縮減を図り、経営改善を進めるとともに、人的・財政的な府の関与を段階的に 軽減し、自立化を目指すとの方向性が示されたことから、まとめられたもの。 取り組みでは、自立化への舵取りとして、賃貸住宅中期管理計画と組織自立化推進計画を両輪とし、市場の 誘導や府施策の補完といった公的機関の役割を最大限果たしながら、更なる経営改善により、最終的には資 金調達力や経営企画力を備えた「自立した経営体」となることを目指す。計画の推進にあたっては、各計画 の進捗状況を常に点検・検証し、その結果によって計画を随時、見直すこととしている。 賃貸住宅中期管理計画では、経営の観点から建替計画を抜本的に見直し、経営効率を重視した管理を行い、 建替・統廃合、経営廃止などの取扱い方法を示す。数値目標では、2007年度末の借入金残高1,915億円を、同 29度年末までに1,500億円以下とする。 管理方針では、建替事業中の団地については早期の事業終了とコスト削減に取り組む。また、建替説明を予 定していた団地では、原則として新たな建替事業は行わず、民活導入によるオフバランス手法の検討団地、 経営廃止の団地、継続団地に分類。また、団地ごとに収支や入居率、建物状況に加え、家賃動向など周辺住 宅の需要の動きを団地カルテのまとめ、これに基づき家賃設定やリフォーム、廃止、建替実施等の対策を講 じる。 このうち、オフバランス手法の検討では、石橋、石橋西、神田町、喜連、井口堂・B、箕面・B・Cが対 象。経営継続のうち建替を行わないものは、浜寺、浜寺東、布施(布施B含む)、長瀬東・B、大町、枚方 の各団地で、これ以外の団地では、団地カルテを活用して管理。このほか、三原台単身者住宅は平成22年度 で経営廃止とし、豊津では経営廃止を検討する。 これにより、現在建設中の団地も含め、2008年度当初の管理戸数2万4,394戸を、2017年度末には約2万 2,000戸までに削減する。一方、組織自立化推進計画では、公社が経営体として自らの力を発揮できる効率的 な組織づくりが目標。数値目標として公社独自事業部門で、府等の派遣職員数を2013年度には「原則ゼロ」 に、人件費も2007年度と比較して同2013年度3割、2017年度は4割まで削減する。 取り組みでは、簡素で効率的な組織への再構築や管理職ポストの精査、業務外部化を検討。また、社会人経 験者の積極的採用や能力ある職員の抜擢などを行うほか、民間経営手法等の導入により、民間ノウハウを取 り入れた経営機能の強化を図ることとしている。