葉山会長「利潤確保」を訴え (社)日本土木工業協会(葉山莞児会長)と、近畿地方整備局並びに管内の 各発注機関、2府5県と4政令市による「公共工事の諸課題に関する意見交 換会」が19日、大阪市内のホテルで開催された。交換会には、発注者側から 布村明彦・近畿地方整備局長はじめ各担当者ら、協会側からは葉山会長らが 出席し、土工協から示された提案について意見交換を行った。
初めに、発注者側と協会側を代表して、布村局長と葉山会長がそれぞれ挨拶を行った。布村局長は、日本の 建設業は世界に冠たる技術を有しており、「これを大事にしながら、良い仕事をし、良い産業となるよう育 てなければ」としながらも、官と民の関係が、「これまで信頼を基にしていた関係が契約面ばかりに囚われ つつある」とし、その辺りについても意見を聞きたいとした。 葉山会長は、土工協の活動方針である「魅力ある建設企業群の実現」に触れ「会員だけでなく、日本の建設 業の指導的役割を果たすためにも、産・官・学と力を合わせ、国の活性化のための役割があると考えてい る」とし、そのため企業としての利潤を確保する必要があるとして、資材高騰への対応や入札契約制度の改 善へ向け「実りある意見交換を」と期待を寄せた。 意見交換では、土工協の提案テーマである「ゆとりある建設現場への取り組み」として、利益確保につなが る調査基準価格の引き上げや現場条件、高騰する資材単価を反映した積算、設計変更について、「総合評価 方式等の改善」として実情に即した評価項目設定や評価結果の公表、加算方式拡大ーなどについて話し合わ れた。 調査基準価格の引き上げでは、和歌山や兵庫、奈良が6月から改定する予定とし、資材単価についても大半 の府県で随時見直しを実施しているとしたほか、単品スライドを含めたスライド条項の適用に関しては、整 備局が「前向きに検討中」とし、各自治体・機関とも国の動向を見守るとした。この中で阪神高速(株)の 南部隆秋常務は、調査基準価格の必要性は感じていないとし、独自にコスト削減評価や入札方式としてDB (デザイン・ビルド)を実施しているとした。また「積算とは何かを考え直さなければ」とし、発注者と受 注者がより対等になるべき時期が来たのではとして、「良いものを残すためにの仕組みをつくるべき」と述 べた。 総合評価方式での評価項目については、整備局が「絶えず意識しながら、的確で簡素化を目指している」と し、加算方式拡大では、現行の除算方式と比較検討しながら、試行件数を増やしたいとした。結果公表で は、実施機関全てがHPなどで公表しており、項目毎の公表も希望に応じて公表しているとした。 最後に葉山会長は、従来、重要とされた課題が次第に置き去りにされつつあり「発注者側の意識が変化して いる」と、発注者側の意識の変化に危惧を表明しなながら、「発注者には建設業界を育てるという意識を持 ってもらいたい」と強調した。