近畿地方整備局港湾空港部 和歌山港湾事務所では、特定重要港湾の和歌山下津港と重要港湾の日高港で 直轄事業を実施している。和歌山市、海南市、有田市にまたがる和歌山下津 港は、北港・本港・和歌浦・海南・有田の各港区からなり、このうち本港地 区では、多目的国際コンテナターミナル(水深13m)が整備され、港湾諸活 動の安全と構内静穏度を確保するための本港地区防波堤(外)と北港地区防 波堤(南)の整備が推進されている。 本港地区防波堤(外)は、ケーソンによる計画延長1,250mで、これまでSC P(サンドコンパクションパイル)工法による地盤改良工事を1,217mまで実 施、防波堤も既に1,118mが概成、来年度はケーソン2函の製作・据付を予定 している。 北港地区防波堤(南)は、我が国初となる根入れ式鋼板セルとハイブリッド 構造形式のハイブリッドケーソンで構成。このうち鋼板セルの延長291mは打 設が完了しており、ハイブリッドケーソンでは、昨年度に5函を据付、鋼板 セルと合わせて462mが概成している。零年度は現在製作中である2函のケー ソンの据付と、捨石や被覆ブロックなどの工事を予定している。
一方、日高港では、防波堤(A)の整備を進めている。防波堤は延長460mで計画され、本体は一部を消波ブ ロック被覆堤としたケーソンで構築。今年度はケーソン7函の製作と据付を実施し、延長398mが概成した。 来年度には、ケーソン4函の製作と据付を予定しており、工事は2008年度末の完了予定。同事務所ではま た、昨年12月に白浜沖17?にGPS波浪計による沖合波浪観測システムを設置、来年度から運用を開始す る。ブイ(GPS波浪計)の上下動により潮位を観測することで、港湾整備に必要な波浪を高精度に観測す るもので、地震発生時には気象庁などの関係機関と連携して津波災害対策にも応用するとしている。 さらに、和歌山県は県下全市町村が東南海・南海自信防災対策推進地域に指定され、地震による揺れと津波 対策が緊急課題となっている。特に海南地区では、沿岸部に行政や防災中枢機能が集中するほか、鉄鋼や電 力などの多彩な産業施設が集積するため、被災による影響は世界経済へも波及する恐れがあり、ハード・ソ フトが一体となった取り組みが必要とされる。このため、海南地区では来年度より、津波浸水対策として湾 口に設置する可動式津波防波堤等の検討を行うとしている。