近畿地方整備局港湾空港部 舞鶴港湾事務所は、京都府、滋賀県及び兵庫県北部の日本海側の港湾等を管 轄、このうち重要港湾の舞鶴港と避難港の柴山港で直轄事業を実施してい る。特に舞鶴港は、近畿圏における日本海側唯一の重要港湾で、FAZ(輸 入促進地域)の指定を受け、対岸貿易の拠点としての役割に期待が高まって おり、輸送需要の増大に対応するため西港和田地区で多目的国際ターミナル の整備が行われている。 同ターミナルは、和田地区の沖合いを埋立て、5万トン級船舶に対応する水 深14mの「和田埠頭(仮称)」を整備するもの。岸壁の本体となるケーソン は、長さ約14m、幅16.7m、高さ15.3mで全24函の据付を完了。、このうち 岸壁延長は280mとなる。 また、同地区から京阪神地域へのアクセス向上を目指す臨港道路として「み なと安久トンネル」も整備されている。同トンネルは、舞鶴市上安久地区と 下安久地区をつなぐ全長1、125mで、既に貫通を果たしており、設備工事な どを残すだけで、2010年春の供用開始に向け、今後も工事を進めることとし ている。
舞鶴港については、関西における効率的な物流ネットワーク形成への取り組みを進める国際物流戦略チーム の本部会合において、ロシアや中国の日本海側沿岸部開発により日本海における港湾整備の重要性が指摘さ れ、同チームの下妻博本部長(社関西経済連合会会長)は、「舞鶴港は日本海側の大きな拠点となる」と、 整備の進展に期待を寄せている。 一方、避難港である柴山港では、1986年(昭和61年)から、「避難港整備事業」に取り組んでいる。日本海 西部沿岸域を航行する一般貨物船の安全対策として、500から1,000G/Tの船舶を対象に防波堤(西)と泊地 を整備するもの。 泊地整備では既に浚渫工事を終えており、現在では防波堤(西)を築造中。防波堤は計画延長450mで、本体 には消波機能と海水交換機能を備えた「2重円筒ケーソン」を採用している。ケーソンは直径29.4m、高さ 26.5mの規格で、1994年に1号函据付、昨年7月には6号函の据付を終え、これまでに約180mが整備され た。なお、供用開始は2024を目指している。