近畿と中部を結ぶ新たな大動脈 大阪から名古屋間の所要時間短縮 関西経済圏と中部経済圏との緊密化をさらに促進ー。西日本高速道路(株) と中日本高速道路(株)が建設を進めていた新名神高速道路の亀山JCT間 から草津田上IC間(49・7?)が23日、待望の開通を迎えた。日本の真ん 中に、元気な流れを生み出す新名神高速道路の開通により、東名・名神なら びに一般国道一号などの交通渋滞の緩和や大阪・名古屋間の移動における所 要時間の短縮などを実現。
また、渋滞、老朽化が目立つ名神高速道路とのダブルネットワークの構築により、降雪、集中工事、重大事 故、地震災害等の交通傷害時に迂回路としての機能が相互に発揮され、高速道路ネットワークの信頼性が向 上する。一方、東西を結ぶ新たな大動脈の施工を担当した精鋭各社では、確かな技術力を駆使するととも に、環境保全にも留意しながら長大トンネル、橋梁、土工工事などを安全第一に推進し、高品質に完成させ た。 名神とのWネットワーク構築 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 我が国に本格的な?ハイウェイ時代?の幕開けをもたらした名神高速道路が全線開通(総延長189.3?)した のは1965年7月。以来、基幹交通を担う大動脈として国民生活の向上と経済社会の発展を下支えしており、 物流・交流の輪を広げている。しかし、交通革命をもたらした昭和文化のシンボルは、我が国経済の急激な 発展に伴う自動車交通の著しい増大によって本来の高速性・定時性が低下しているばかりでなく、メンテナ ンスやリフレッシュ工事による渋滞も発生するなど、将来の交通需要への対応に支障を来すことが懸念され ていた。 こうした状況下にある名神高速道路と一体となって第4次全国総合開発計画で提唱された「交流ネットワー ク構想」を推進するための高規格幹線道路網の根幹を形成するとともに、将来における一層の高速交通機能 の促進を目的として建設が進められ、23日に亀山JCT〜草津田上IC間(49.7?)の開通を迎えたのが新 名神高速道路。東名・名神との適切な交通機能の分担と、高い信頼性を確保し、我が国の産業・文化・社会 経済活動の振興に大きな役割を果たしていく。 愛知・三重・滋賀・京都・大阪・兵庫の各府県を結んで人と街に夢を運ぶ?スーパーハイウェイ?として大 きな期待を集める新名神高速道路の全体延長は、愛知県名古屋市から兵庫県神戸市までの約174?。なお、近 畿圏では、このうちの大津から城陽間(25?)と、八幡〜高槻間(10?)が「当面着工しない区間」となっ ている。 ゆとりある構造、安全性ならびに快適な走行環境の確保、自然にやさしい道づくりなどに重点を 置いて建設が進められ、近畿圏と中部圏の連携強化や滋賀県南部地域の活性化をもたらす今回開通区間の車 線数は暫定四車線(上下線2車線)で、道路規格は第1種第1級A規格、設計速度は毎時120?。また、途中 には、甲賀土山IC、信楽ICおよび土山サービスエリア、甲南パーキングエリアを設けている。 日本の真ん中に、元気な流れを生み出す新名神高速道路の開通により、東名・名神ならびに国道1号の交通 渋滞が緩和されるとともに、大阪・名古屋間の所要時間の短縮を実現。また、名神高速道路とダブルネット ワークが構築されることから、降雪、集中工事、重大事故、地震災害などの交通障害時に相互に迂回路とし ての機能が発揮され、高速道路ネットワークの信頼性が向上する。このほか、企業の立地が進む滋賀県をは じめとする地域産業の発展、物流の効率化、環境負荷の低減、緊急医療の支援、観光の振興など、様々な波 及効果をもたらす新名神高速道路。東西を結ぶ新たな大動脈が、近畿圏と中部圏に熱い血を通わせる。 〜精鋭各社が高品質施工〜 長大TN、橋梁、土木工事など息づく確かな技術力 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 長大トンネル、橋梁、大規模土工区間によって構成される今回開通区間の施工を担当した精鋭各社では、地 域の自然・景観・環境との調和に留意しながら安全第一に工事を推進。日本の真ん中、近畿―中部を結ぶ新 たな大動脈には、我が国が誇る高度な土木技術力が息づいている。 今回開通した亀山JCT〜草津田上IC間(49.7?)のうち、西日本高速道路(株)大津工事事務所が所管 しているのは、甲賀土山ICから草津田上ICまでの30.9?。トンネル区間が20%(6.3?)、橋梁区間が 22%(6.7?)、土工区間が58%(17.9?)を占めており、自然との共生を巧みに図りながら人と街に夢を運 ぶ?21世紀のスーパーハイウェイ?のライン形成と取り組んでいった。 環境保全などにも万全の対応 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 近畿圏と中部圏の緊密性をさらに強める?太い絆?となるトンネル区間の工事においては、延長約3.8?の栗 東トンネル(供用開始後の名称は金勝山トンネル)や延長約2.5?の甲南トンネルの掘削断面が従来の2車線 トンネルと比べ、およそ2.5倍(約180?)もある大断面であることから、TBM導坑先進拡幅掘削工法を採 用して施工したのが特徴。これにより、地質状況の把握による安全な施工、水抜き効果や導坑からの事前補 強による切羽安定効果、切拡げ掘削時の施工の効率化を図ることができ、大断面掘削を円滑に推進した。ま た、甲南トンネル下り線の施工においては、覆工コンクリート、吹付コンクリートの補強に再生PET繊維 を採用するなどして環境保全に努めた。 新名神高速道路のランドマークとなる近江大鳥橋をはじめとする橋梁は、西日本高速道路(株)管内には30 橋(本線部24橋、ランプ部六橋)あり、本線部24橋の内訳は、コンクリート橋が15橋、鋼橋が九橋となって いる。地域の活性化などをもたらす?明日への架け橋?としての一翼を担うコンクリート橋のうち、杉谷川 橋、大津A・Dランプ橋などの7橋については、波型鋼板ウェブPC箱桁構造を採用。ウェブに軽量な波型 鋼板を採用することによって自重の軽減を図り、現場作業の省力化ならびに工事費の削減を実現した。 土工工事においては、工期の短縮や安全性の確保などを目的として、大型施工機械を用いた大規模工事を推 進。また、甲南PAの施工では、大津JCTや信楽地区で発生した切土および仮置きしていたトンネル掘削 残土(合計約200万立法m)を本線部(上り線)を使って運搬し、これを盛土して造成した。 このほか、現地の植生を再現するため、現地の表土を乱さずに採取して切土や盛土法面に移植するなど、環 境に配慮した施工に努め、地域の自然・景観・文化との共生を図った。