国交省のPFI、大成建設が施工、支部会員ら約40人が参加 (社)建築業協会関西支部(淺沼健一支部長)では、支部会員を対象とした 大規模現場見学会を8日、国土交通省のPFI事業で、大成建設がりんくう タウンで施工中の「航空保安大学校本校移転整備事業」(泉佐野市りんくう 往来南3−11)現場で開催した。同支部技術専門委員会(釼吉敬委員長)が 主催したもので、見学会には支部会員各社の担当者ら約40人が参加した。 この事業は、東京・羽田整備場にある同大学校の老朽化と狭隘化が進み、航 空保安業務の技術習得に不可欠な訓練機器等の更新が出来ないことから。建 物の移転整備により訓練機器の更新・新設を行い、航空保安業務を担う専門 家を養成する国内唯一の航空保安大学の質を高めることを目的に進めれられ ている。 整備にあたっては、国土交通省航空局がPFI手法を導入して、総合評価一 般競争入札により、大成建設を代表企業とするグループが事業者に選定さ れ、同グループがSPCである「りんくうカレッジサービス?」を設立して 実施しているもの。
建物は、りんくうタウン駅南側の敷地面積約2万?に、RC・S造3階建て延床面積1万1,303?、体育館R C・S造2階建て延床面積1,332?、学生寮RC造14階建て延床面積8,089?の3棟で構成され、校舎と学生 寮には基礎免震構造が採用されている。 見学会では、初めに釼吉委員長が、「先端技術が採用されている同現場での取り組みを実際を見て、見学会 を有意義なものとしてほしい」と挨拶。次いで、SPCと設計、施工の各担当者からそれぞれの概要説明が 行われた。建物は、3棟を囲むように中庭を配し、動線を抑え横に広がらない配置とし、また校舎をダブル 廊下として間口を抑え、屋外運動施設とコミュニケーションスペースを多く確保。これは、「管制業務とい う性質上、管制官同士のコミュ二ケーションづくりに利用してもらいたい」との配慮によるもの。学生寮の 高層化については、女性管制官の増加によりフロアを男女別にしたことや周辺へのランドマーク性も意識 し、さらに圧迫感を避けるためにアプローチ側に前庭を採用した。 一方、免震構造は、大成建設が保有する「ハイブリッドTASS構法」により、RCとS造を組み合わせた 複合構造としたもの。また体育館棟では、ブレースと柱を合体させ耐震設計とした。このほか基礎では、埋 立地地盤を考慮し、高支持力杭工法と中間杭を採用。杭頭にはテーパー状の鋼板型枠で杭頭ぶ成形する杭頭 ディテールも採用した。 現場見学では、川路文昭所長らの案内により、実習室や学生寮、体育館を見て回った。校舎棟の講義室は無 柱空間として明るく開放的な空間とし、学生寮は個室として214室を確保したほか、最上階にガラス張りのス カイラウンジと各階に展望コーナーを設け、体育館は式典等に使用するためステージが壁面収容されてい る。 設計は大成建設・山下設計JVが担当、工事は2006年11月に着手され、現在までの進捗率は98%で約45万時 間に及ぶ無事故・無災害記録を継続中。工期は3月31日まで、そのご2023年3月末まで維持管理等業務が行 われる。