トラブル防止へ、現場技術者向けに (社)大阪建設業協会(淺沼健一会長)では、建築技術者を対象に「若手技 術者のための知っておきたい設備工事」「事例に学ぶ音の基礎知識」のマニ ュアル2冊をこのほど発刊した。同協会建築委員会(委員長=松井攻・竹中 工務店常務取締役)が、トラブルなどに対する予防対策の基礎資料としてま とめたもので、委員会では、会員各社に配布するとともに講習会などを通じ て周知を図りたいとしている。
これらマニュアルの発刊は、現場における専門スタッフの不足や担当業者に対し建築系技術者では目が行き 届かず、また、それぞれ専門知識を要する上、これまで現場向けの適切な解説書等がなかったことから、現 場技術者向けに分かり易く編集することを基本に、各マニュアル作成部会が2年前から取り組んでいたも の。 編集に際しては、専門的な内容や公式は避け読み易さを重視。基礎資料とするため、集合住宅を中心に会員 各社から募ったトラブル事例を基に、それぞれ四章構成とした。事例の紹介・分析はじめ、基礎知識から技 術的な対応策、関係法令までまとめた。問いかけ方式の内容で写真やイラストを盛り込んだもので、各A版 で設備マニュアル全98頁、音マニュアル全118頁。 設備マニュアルには、26社から寄せられた144事例からテーマに即したものを選定。着工から竣工・引渡しま での各工程で特に建築と設備の取り合い部分を管理ポイントを中心に解説。また、工事中によく出てくる点 を資料編としてまとめた。 音マニュアルでは、22社からの232事例のうち32事例を選び、音を感じた部位別に現況・原因・講じた処置・ 設計・施工の各工程上での留意点をまとめ、施工段階からできるだけ分かりやすく解説。 設備に関して松井委員長は、「現在では機能分化により、建築と設備に2分化されており、建築管理者とし て専門知識に欠ける部分もあり、クレーム等に対応しにくくなっている上、設備のウエイトが高まり、建築 技術者が設備を学ぶ必要がある」とした。また、音については「音の感じ方は個人差があり、主観や生活形 態など問題解決が難しい部分があり、近年では超高層ビルで揺れに伴うものなど新しい問題も発生してい る」と、それぞれにおける課題を指摘した。 さらに松井委員長は、これまでに施工段階から分かりやすく実践的なテキストがなかったことから、「二冊 とも最低限知っておく基礎知識として、また将来の指針となるような実践的なテキストとしてまとめた」と し、委員会のテーマとしてもタイムリーなものだと発刊の目的を語った。 委員会では、各千部を発行。会員各社に配付するとともに大建協ホームページダウンロードコーナーに掲載 するとともに、マニュアルをテキストとした設備に関する講習会を3月26日に開催、音に関しても開催を計 画中としている。なお、希望者にも頒布(会員1,500150円、一般3千円)するとしている。 問合せは、大建協業務部企画調整課(電話06-6941-4822)まで。 大阪建設業協会 http://www.o-wave.or.jp/