
高規格道路3路線の整備促進へ 業界はもっと技術PRを 社会資本の整備は、あらゆる分野における各種の活動や日々の生活において必要不可 欠なものであり、どうような時代にあってもその後退は許されないものとなってい る。大阪府のインフラ整備を担当する大阪府都市整備部では、厳しい社会状況の中に あって創意と工夫により、府民の暮らしを支える基盤整備に努めている。その都市整 備部の福田保部長に、今年度の事業進捗状況や来年度の見通しなどを聞いた。 (渡辺真也)
――まずは今年度事業の取り組み状況からお聞かせ下さい。 「昨年8月に関空2期が供用し、港湾では12月から一開港化が始まり、空と海で物流にとっての良い条件が 整いました。今後は、それらをつなぐ陸の重要性、基盤となる道路整備の重要性が増してきました。主な道 路としては第2京阪道路と都市再生環状道路、さらに新名神高速道路と、大きく分ければこの3つを進めて います」 ――それぞれの進捗状況は。 「第2京阪は2009年度の供用開始を目指して、用地買収もほぼ終わりに近づいており、供用への目途がつい てきました。都市再生環状道路では、大和川線で阪神高速会社と堺市との共同で取り組んでおりますが、街 路事業として府が担当する部分全線で本格的な工事に着手しています。新名神高速は、昨年度地元との設計 協議が進められており、本年度には一部測量にも着手しています」 ――水都再生として8軒家浜整備事業もあります。 「1期事業の天満橋側、2期事業として天神橋側で実施し、今年3月末に天満橋で船着場のオープンを目指 して進めています。丁度、中之島線もこの秋に開業し、京阪電鉄でも天満橋駅をリニューアルして船着場と の連絡を計画されてます。2期については集客施設も計画しており、事業者の公募を実施中です」 ――道路や橋梁での耐震改修の状況は。 「広域緊急交通路14路線に架かる橋梁につては今年度中に終了します。河川での護岸補強や水門などにつき ましても従前から順次、実施しております。また津波に関しても泉州海岸などで遠隔操作による防御体制を 整備していきます。西大阪治水事務所での津波ステーションも拠点施設の整備は終えており、今後は啓発活 動に係る展示施設の整備に着手します」 ――来年度事業に関しての見通しとしては。 「予算的には厳しいものになるでしょう。事業は継続事業が中心になりますね。先程言いました第2京阪や 環状道路、新名神の各アクセス道路のほか、府県間道路として特に和歌山県との3路線を継続して実施しま す。また、連立事業も5カ所で実施しており、来年度からは新規の着工準備や着工に向けた調査を2カ所で 始める予定です。いずれにしろ事業全体は都市基盤整備中期計画に基づいてのものとなります」 ――そのほかの取り組みでは。 「昨年年5月には箕面グリーンロードが供用開始しました。あと鉄道ではJRおおさか東線が本年3月15日 に、中之島線が秋に、阪神なんば線が来年春に開業します。また下水道事業では、従来の組合管理から府が 一元的に管理するための組織変更する必要があり、現在、組合や市町村との調整で詰めの段階に入っており ます」 ――来年度は、いよいよ電子入札の全面的な導入が始まりますが。 「現在まで1千万円以上の案件で導入しておりますが、少し改善点もあり全面導入について協議を進めてお ります。緊急時や案件によってはそうはいかない部分もありまして、議論の分かれるところです」 ――入札制度で、今年度の総合評価方式の件数は。 「当初予定より上回って、今年度はこれまで87件で実施しております。来年度は適用範囲を拡大したいと思 っておりますが、時間と人手がかかりますから、今年度の結果を見ながら、簡素化も含め検討していきま す」 ――技術評価は業界にとっても希望する部分です。 「技術で生きていくという面を出す必要はありますね。国民生活に技術面で業界は大いに寄与しているわけ ですから、その辺をアピールしていけばと思いますね。我々も含めていろんな部分で開発や研究に取り組ん でいるわけですから、そういった面を知ってもらうことも必要だろうと思いますよ」