総合評価方式の拡大・定着へ 国土交通省と近畿建設業団体協議会(近畿2府4県と福井県の各建設業協会 で構成)が、公共工事の諸課題について意見交換する「2007年度近畿ブロッ ク会議」が15日、大阪市内のホテルで開催された。会議には国交省から中島 正弘・大臣官房建設流通政策審議官、佐藤直良・大臣官房技術審議官並びに 布村明彦・近畿地方整備局長らが、協会側からは各協会の正副会長及び、社 全国建設業協会の前田靖治会長らが出席し、総合評価方式の運用はじめ、協 会側の要望事項について話し合った。 会議では、初めに協議会を代表して淺沼健一・大建協会長が挨拶。浅沼会長 は、建設業の信頼回復に向けた取り組みとともに、「社会資本整備をはじめ とする建設業の使命をもう一度確認する必要がある」とし、「技術と経営に 優れた企業が伸び、正しく評価される環境整備と優れた人材が将来を託せる 産業となることを目指す」と語り、会議の成果に期待を寄せた。 次いで中島審議官が、一般競争入札の普及と総合評価方式の拡大と定着に 「総力を挙げて取組みたい」と述べ、佐藤審議官は、「発注者と受注者、ユ ーザーが喜ぶ調達が必要」と総合評価方式の有効性を指摘した。布村局長 は、公共施設は品質をしっかりと確保すべきだとし、「総合評価は始まった ばかりで、市町村への普及が課題となる」と、それぞれ挨拶した。
また前田会長は、社会から信頼され、後世に残る魅力ある業界を目指すため、「公共工事に関わる全員が一 丸となって取組むことが重要」と、信頼回復へ全力を尽くすとした。 会議では、協議会側からの要望事項である ?公共事業費予算の確保と社会資本整備の積極的な推進 ?地元中小・中堅企業の受注機会の確保と取り組み ?技術と経営に優れた企業が生き残れる環境整備 ?総合評価方式の改善要望?建設業の人材確保 ―の5項目について意見が交わされた。 この中で、京建協の絹川治会長が、地方では一般競争による価格競争が依然として続いており、「経営計画 が立たない状況」とし、市町村への総合評価方式導入への指導を求めとともに、予定価格の事前公表廃止を 求めた。総合評価方式の地方導入については、「地域によって対応にばらつきがあるのは確か」としなが ら、「導入初期の段階であり、今後も地方整備局を通して支援、指導を続けていく」とし、予定価格の事前 公表についても「撤廃する方向も検討されている」とした。 また、総合評価方式の地方導入にあたり、評価方法について手続きの簡略化とともに、「技術者のいない市 町村などへ、技術者派遣のための助成を行う」としながら、「総合評価は発注者と受注者の技術競争であ り、両者の共通理解の上での発注だ」とし、地方への導入は、市長村の各首長の「やる気」にかかっている とした。 人材確保に関しては、若年者確保に向け文部科学省と共同で、工業高校などへ基幹技能者派遣を派遣して授 業を行うモデルプログラムの実施を検討中とし、佐藤審議官も「人材確保は最も需要な課題」と指摘、優秀 な基幹技能者を育てた専門工事会社を評価することも必要とした。 佐藤審議官はまた、総合評価方式について、「発注者の経験と受注者の資格、工事評価ーのバランスが必 要」と述べ、低入札に関しても、「低入札の多い会社は積算能力のない会社と見るべきだ」とし、発注にあ たっても「等級が違っても繰り上がり、繰り下げの余地があっても良い」と、柔軟な考えを示した。