全国第1位の高度処理人口普及率 人と人、人と自然が共に生きる、真に豊かな湖国の創造を目指す滋賀県では、貴重な生態系の宝庫である琵 琶湖を国家的見知から保存し、その恵みを次世代に引き継ぐため、「水質保全」、「水源涵養」、「自然的 環境・景観保全」の3本柱からなる琵琶湖の総合保全と取り組み、環境にやさしい「エコライフ」の実践に 努めている。 なかでも、下水道事業は、人口・産業・資産・都市機能が集積する近畿圏の社会経済活動を支える貴重な水 資源であるとともに、潤いのある水辺空間として重要な役割を果たしている琵琶湖の水質保全に対する大き なカギを握っているため、1971年度に策定した「琵琶湖周辺流域下水道基本計画」に基づきながら事業に取 り組んでいる。 具体的には、「湖南中部」、「湖西」、「東北部」、「高島」の四処理区からなる琵琶湖流域下水道および 流域関連公共下水道と、大津市単独公共下水道を主体とした下水道整備事業を着実に推進し、この結果、 2006年度末現在における滋賀県の下水道普及率は、82.2%に達しており、全国では第七位にランクインして いる。 一方、琵琶湖の富栄養化防止のため、全国に先駆けて高度処理を本格的に導入した滋賀県の高度処理人口普 及率は、全国第1位を誇っており、今後も通常の有機物除去に加え、窒素、リンの除去も行う高度処理を積 極的に推進することとしている。また、「琵琶湖と人との共生(琵琶湖を健全な姿で次世代に継承しま す)」という基本理念に基づいて ▽共感(人々と地域との幅広い共感) ▽共存(保全と活力あるくらしの共存) ▽共有(後代の人々との琵琶湖の共有) ―の基本方針を達成していく「マザーレイク21計画」では、現在の高度処理からさらに進んだ「超」高度処 理のための検討も行っている。なお、琵琶湖流域下水道各処理区の状況は、次のようになっている。 _________________________________________________________________________________________________ 湖南中部処理区 …………………… 滋賀県の面積の約6分の1を占める我が国最大の淡水湖・琵琶湖の水質保全に大きな役割を果たす湖南中部 処理区の対象となるのは、大津市、近江八幡市、東近江市、草津市、守山市、栗東市、野洲市、甲賀市、湖 南市ならびに安土町、日野町、竜王町にまたがる約2万9,200haで、計画処理人口は約87万8,000人、計画処 理水量は約78万8,000立方m/日となっている。 草津市矢橋町沖合の琵琶湖を埋め立てて造成した敷地に設けられている湖南中部浄化センターは、1982年4 月に7,000立方m/日の処理能力で供用を開始した。また、この後も流入量の増大に伴う増設工事が順次進め られ、現在の処理能力は24万2,500立方m/日に達している。一方、幹線管渠の敷設については、事業認可延 長(15幹線178.0?)のうち、平成18年度末までに174.2?が完成している。 湖西処理区 …………… 大津市を対象とする湖西処理区の全体計画は、計画面積が約3,500ha、計画処理人口が約14万9,000人、計画 処理水量が約11万7,000立方m/日となっている。湖西浄化センターは、大津市鹿苗および木の岡町地内に設 けられており、現在における処理能力は、約5万2,500立方m/日に達している。 一方、湖西北幹線(延長約14.7?)と湖西西幹線(同1.0?)からなる幹線管渠の敷設は、2001年度末までに 概成している。 東北部処理区 ……………… 湖南中部処理区に次ぐ規模を誇る東北部処理区は、彦根市、長浜市、米原市、東近江市ならびに豊郷町、木 之本町、甲良町、多賀町、虎姫町、湖北町、高月町、愛荘町の東北部地方生活圏の環境改善に大きく寄与す るもので、計画処理面積は約1万3,450ha、計画処理人口は約39万6,000人、計画処理水量が37万1,000立方m /日となっている。東北部浄化センターは、彦根市と米原市にまたがって設置され、1991年4月に供用を開 始した。2006年度末に完成した増設工事により、現在の処理能力は10万1,500立方m/日に達している。 一方、木之本東、浅井、愛東東・同西幹線などの17幹線(事業認可延長約121?m)からなる幹線管渠の敷設 は、2006平年度末までに約114.1?が完成している。 高島処理区 …………… 交通網の整備などに伴って宅地開発が急ピッチで進む高島地域の生活環境の向上に寄与している高島処理 区。その対象となるのは、滋賀県の北西部に位置する高島市で、全体計画は、処理面積が約2,443ha、処理人 口が約5万1,000人、処理水量が3万9,600立方m/日となっている。その中枢を担う高島浄化センターは、 1997年4月1日に3,800立方m/日の処理能力で供用を開始。これにより、湖南中部、湖西、東北部、高島の 四処理区すべてで供用開始の運びとなり、滋賀県の下水道整備事業は大きく前進することとなった。また、 この後も増設工事が進められ、現在は1万6,400立方m/日の水処理能力を有している。 一方、高島北幹線、高島南幹線、高島東幹線の3幹線(事業認可延長27.3?)からなる幹線管渠について は、26.9?が完成している。 ……………………………………………………………………………………………………………………………… 滋賀県では、2005年度の下水道法改正を契機として、現在、琵琶湖流域別下水道整備総合計画の見直し作業 を進めている。作業は大詰めを迎えており、計画水量は6割程度に縮小する見通しとなっている。今後も引 き続き、効率的、効果的な下水道整備を進め、未整備地区の早期解消を図ることとしている。