環境問題や都市型浸水対策にも緻密に対応 ▽元気な兵庫の創出▽安心な兵庫の確保▽安全な兵庫の構築▽信頼の兵庫の確立―を基調として、「元気な 兵庫」、「美しい兵庫」づくりを推進している兵庫県。復旧・復興のステージに1つの区切りをつけ、新た なステージを迎えた兵庫県では、多くの課題を乗り越えて、21世紀の新しい地域モデルを確立していく。 兵庫の持つ強み、兵庫らしさ、個性と多様性を活かした地域づくりに努め、一人ひとりが充実感を持ってい きいきと暮らす質の高い生活環境の創出をめざしていく兵庫県では、美しい自然環境を守り、安全・安心・ 快適なまちづくりを進める上において不可欠な下水道整備事業を計画的に推進。2006年度末現在におれる下 水道普及率は全国第四位の89.7%に達しており、今後も市域に比べて普及率が低い町域での普及拡大に努め ていく。また、下水道普及率の向上に伴って、下水道施設のストックや処理水が増大していく中、持続的発 展が可能な循環型社会を形成していくため、下水道施設の適切な維持管理やライフサイクルコスト低減に資 する施設更新への取り組みなど、安定的かつ効率的な事業展開を図るとともに、下水道資源・施設の有効利 用にも力を注ぎ、地球規模の環境問題に対応していく。 一方、下水道の主要な役割の一つである雨水排水については、都市浸水対策率が平成18年度末現在において 全国第七位の62.6%に達している。しかし、雨水については、都市化の進展などによる流出量の増大に加 え、近年において多発傾向にある集中豪雨への対応といった観点から、従来の排除中心の浸水対策から、浸 透・貯留による流出抑制を目指した都市型浸水対策の検討を急いでいるところである。 また、尼崎市などの阪神間や播磨南部地域の都市部では、早期の浸水防除を目的として合流式で整備されて いることから、雨天時における公共用水域への越流等による汚濁負荷についても、快適な都市・居住空間の 確保のために、その改善を進めているところである。 _________________________________________________________________________________________________ 猪名川流域下水道 …………………… 1966年度に兵庫県の伊丹市、尼崎市、川西市、大阪府の豊中市、池田市、箕面市による広域下水道としてス タートしたもので、1967年度からは兵庫県と大阪府が事業主体となって共同で事業を実施。また、1971年に は兵庫県の宝塚市、猪名川町、大阪府の豊能町が計画区域として新たに編入された。 猪名川の水質汚濁防止を目的とする猪名川流域下水道の全体計画は、計画処理面積が1万2,107ha(うち兵庫 県側6,637ha)、計画人口が81万3,100人(同36万1,500人)、計画処理水量が54万6,200立方m/日(同26万 1,400立方m/日)となっている。兵庫県伊丹市岩屋、尼崎市田能および大阪府豊中市原田西町に設けられて いる終末処理場の現在における処理能力は、?系、?系ならびに?系の16分の8系列(39万3,050立方m/ 日)。また、猪名川および大阪湾の水質浄化を目的に、窒素、リンの除去を対象とする高度処理施設の建設 を今年度も推進している。なお、五幹線からなる幹線管渠については、1992年度に全線(総延長34.?)が完 成している。 武庫川上流流域下水道 ………………………… 武庫川上流流域下水道は、阪神間におけるベッドタウンとして開発が急ピッチで進められた北摂・北神地域 の生活環境の向上と、武庫川の水質保全を目的として1978年度から事業に着手したもので、対象となるのは 神戸市、西宮市、三田市の3市。全体計画は、処理面積が6,995ha、処理人口が26万4,800人、処理水量が19 万4,300立方m/日となっている。終末処理場は、神戸市北区道場町に設けられており、1985年5月から24分 の1系列での供用を開始。現在における処理能力は、12分の六系列(10万立方m/日)に達している。 また、同処理場においては、放流先河川の下流に上水道の取水口があることから、供用開始当初から処理水 全量を砂ろ過処理してきたが、1990年度からは、窒素除去を目的とする循環式硝化脱窒法への改造および増 設を進め、1999年10月に全施設への対応が完了した。なお、幹線管渠は、1985年度に全線(総延長16.3?) が完成している。 武庫川下流流域下水道 ………………………… 阪神間の尼崎市、西宮市、伊丹市、宝塚市の四市を対象として1969年度から事業を進めている武庫川下流流 域下水道の全体計画は、処理面積が6,650ha、処理人口が62万2,800人、処理水量が42万5,600立方m/日とな っている。1976昭和年度に12分の2系列での供用を開始した終末処理場は、尼崎市平左衛門町に設けられて おり、現在では、12分の8系列(37万4,000立方m/日)の処理能力を有している。また、放流先である大阪 湾の水質保全を目的とする高度処理方式への改造を2005年度から進めている。 一方、一部に合流式を採用している同流域下水道においては、雨天時越流水の水質対策が急務となっていた ため、平成17年度から合流改善事業にも取り組んでいる。なお、8幹線からなる幹線管渠(総延長33.8?) については、1998年7月に全線が完成している。 加古川上流流域下水道 ………………………… 加古川中流域の神戸市、西脇市、三木市、小野市、加西市、加東市を対象として1976年度に事業着手した加 古川上流流域下水道。その全体計画は、処理面積が1万7,190ha、処理人口が35万3,900人、処理水量が25万 4,500立方m/日となっている。水処理施設の36分の一系列での供用を1990年6月から開始した終末処理場 は、小野市黍田町に設けられており、現在における処理能力は、18分の8系列(10万3,250立方m/日)に達 している。 一方、同流域下水道では、放流先河川である加古川が下流都市の水道水源となっているため、供用開始当初 から処理水全量を砂ろ過してきたが、1998年度からは窒素除去を目的とした高度処理への改造および増設を 進め、2002年度に全施設への対応が完了した。なお、4幹線からなる幹線管渠(総延長46.3?)は、2004年 度末に加西幹線延伸箇所の施工が完了したのに伴って全線が完成した。 加古川下流流域下水道 ………………………… 1987年度に加古川市、高砂市、稲美町、播磨町の二市二町を対象として事業に着手したもので、全体計画 は、処理面積が9,215ha、処理人口が41万3,300人、処理水量が28万1,600立方m/日となっている。加古川市 尾上養田に設けられている終末処理場の現在における処理能力は、?系および?系の16分の六系列(13万 8,250立方m/日)。また、関連市町からの流入量の増加に対応するため、現在、?系の16分の7系列の水処 理施設増設工事を進めている。このほか、1993年度に統合した公共下水道尾上処理場の施設については、水 処理施設の改築・更新を順次進めている。なお、4幹線からなる幹線管渠(総延長28.4?)は、1997年度に 1部2条管を除いて全線が完成している。 揖保川流域下水道 …………………… 現在の姫路市、たつの市、宍粟市、太子町を対象として1978年度から事業に着手した揖保川流域下水道の全 体計画は、処理面積9,230ha、処理人口20万4,900人、処理水量19万6,600立方m/日。一級河川揖保川の中・ 下流域には、地場産業である皮革工場が多数立地しており、この排水による流域内河川の汚濁が著しく進行 していたため、水質の改善が喫緊の課題となり、それへの対策も兼ねて揖保川流域下水道が計画された。懸 案となっていた皮革排水については、1994年6月にすべての処理場との接続が実現。これにより、揖保川の 水質は飛躍的に改善された。 姫路市網干区興浜および網干浜に位置する終末処理場は、現在、内陸部のA系と、沖合部のB系10分の3系 列(10万2,750立方m/日)の処理能力を有している。また、水処理方式として、A系では高濃度の汚水を処 理するため、酸素活性汚泥法を採用。さらに、1998年10月の窒素濃度にかかる一律排水基準の適用に対応す るため、担体を利用した窒素除去系列(B系)の供用を開始した。なお、六幹線からなる幹線管渠(総延長 59.7?)の敷設は、2001年度に1部2条管を除いて全線が完成している。