豊かで安心して暮らせるまちづくり、持続発展可能な循環型社会形成へ 昨年の4月1日から、「水みらいセンター」へと名称変更したことにより、府民からこれまで以上に親しま れる身近な施設となった流域下水処理場。「豊かで安心して暮らせるまちづくりと持続発展可能な循環型社 会の創出」を基本理念とする「21世紀の大阪府下水道整備基本計画(ローズプラン)」に基づきながら、下 水道整備を計画的に進めている大阪府の流域下水道には、猪名川、安威川、寝屋川、淀川右岸、同左岸、大 和川下流、南大阪湾岸の七流域(12処理区)があり、すべての処理区において供用している。 一方、公共下水道については、流域下水道との連携を強めながら着実に事業を展開。この結果、2001年度末 には、全国初となる府内43の全市町村での供用開始を実現した。 こうした取り組みにより、2006年度末現在における大阪府全体の普及率は92.1%に達し、前年度と比べて 1.3ポイント上昇。しかし、大阪市を除くとこの数字は88.7%にまでレベルダウンするとともに、南大阪地域 の普及率も80.1%にとどまっている。 このため、大阪府では、均衡ある下水道整備の促進に一層努めるとともに、下水道がまちづくりに貢献する ばかりでなく、地球環境にも広く寄与する取り組みを推進。このうち、リサイクルの分野においては、2006 年度末現在で、全処理水の18%および全汚泥量の37%を有効利用しており、下水熱エネルギーについても積 極的な活用を目指していく。 _________________________________________________________________________________________________ 猪名川流域下水道 …………………… 大阪府と兵庫県の共同事業として実施している猪名川流域下水道の対象となるのは、大阪府側が豊中市、池 田市、箕面市、豊能町、兵庫県側が伊丹市、尼崎市、宝塚市、川西市、猪名川町で、大阪府側の全体計画 は、処理面積5,470ha、処理人口45万1,600人、計画処理水量28万4,850立方m/日となっている。 豊中市原田西町および兵庫県伊丹市岩屋、尼崎市田能に位置している終末処理場の「原田水みらいセンタ ー」は、1966年から供用を開始。現在における処理能力は、37万4,2804立方m/日で、このうちの19万5,150 m/日を大阪府側が占めている。なお、大阪府側の幹線管渠(総延長41.7?)は、2000年度にすべての敷設 が完了した。 安威川流域下水道 …………………… 1970年に全国の流域下水道のトップを切って4万立方m/日での通水を果たした安威川流域下水道の対象と なるのは、茨木市、箕面市、吹田市、高槻市、摂津市、豊中市の北摂六市。計画概要は、処理面積8,291ha、 処理人口87万100人、処理水量45万7,400立方m/日となっている。その中枢を担う「中央水みらいセンタ ー」の処理能力は、現在、27万610立方m/日。なお、幹線管渠(総延長54.5?)の敷設については、2006年 度末までに53.7?が完成している。 淀川右岸流域下水道 ……………………… 高槻市、茨木市および島本町の一部を対象とする淀川右岸流域下水道の全体計画は、処理面積5,017ha、処理 人口42万6,100人、処理水量33万6,900立方m/日。終末処理を行っている「高槻水みらいセンター」は、当 初、高槻市公共下水道としてスタートし、1969年8月から汚水処理を開始した。 1970年度からは、従来の施設を大阪府が継承する形で事業に着手。以来、増設工事を順次重ねていき、現在 では17万5,400立方m/日の処理能力を有するに至っている。なお、幹線管渠については、総延長36.7?のう ち、平成18年度末までに34.4?の敷設が完了している。 淀川左岸流域下水道 ……………………… 枚方市と交野市にまたがる5,882haを対象として1971年12月に都市計画決定した淀川左岸流域下水道の計画処 理人口は45万1,400人、計画処理水量は31万8,600立方m/日。1989年に7流域の掉尾を飾って16分の一系列 (3万2,600立方m/日)での供用を開始した「渚水みらいセンター」の現在における処理能力は、14万 2,600立方m/日に達している。 また、同センターでは、処理水の放流先について、淀川への影響を考慮し、石津中継ポンプ場を経由して寝 屋川へと放流している。なお、幹線管渠の敷設については、2006年度末までに、総延長21.6?のうち、19.3 ?が完成している。 寝屋川流域下水道 …………………… <鴻池処理区> 寝屋川流域下水道事業は、地理的条件によって北部地域(鴻池処理区)と南部地域(川俣処理区)に分け て事業を推進。このうち、鴻池処理区の対象となるのは、大阪市、守口市、門真市、寝屋川市、枚方市、東 大阪市、大東市、四條畷市、交野市の九市で、計画概要は、処理面積6,725ha、処理人口75万人、処理水量42 万6,300立方m/日となっている。1972年に供用を開始した「鴻池水みらいセンター」の現在における処理能 力は、33万1,000立方m/日。また、1994年度には同センターの補完施設として「なわて水みらいセンター」 を新たに都市計画決定し、現在は水処理施設の土木工事を推進している。なお、幹線管渠(総延長56.5?) の敷設については、増補管・直送管を除いてすべて完成している。 <川俣処理区> 1966年度に浸水対策と水質保全を目的として事業に着手し、1972年から供用を開始した川俣処理区の計画区 域は、大阪市、東大阪市、八尾市、大東市、柏原市、藤井寺市の六市で、計画概要は、処理面積が8,917ha、 処理人口が85万4,000人、処理水量が49万4,500立方m/日。中枢を担う「川俣水みらいセンター」は、現 在、38万立方m/日の処理能力を有している。 北部地域と同様に、下水排除方式については合流区域と分流区域に分かれており、合流式の区域は「川俣水 みらいセンター」、分流式の区域は同センターの補完施設として平成8年度に新たに都市計画決定し、建設 を現在進めている「竜華水みらいセンター」で汚水処理を実施することにしている。 一方、両処理区においては、寝屋川流域都市水防計画に基づき、下水道の雨水排水能力のレベルアップにも 取り組んでおり、増補幹線管渠(鴻池処理区約36.7?、川俣処理区約34.8?)などのうち、門真寝屋川二増 補幹線の一部と、これに接続する中央2増補幹線が完成。また、2004年度には、大東2増補幹線の一部を貯 留施設として暫定供用した。 大和川下流流域下水道 ………………………… <今池処理区> 堺市の公共下水道として昭和42年にスタートした大和川下流流域下水道西部(今池)処理区の対象となるの は、大阪市、堺市、富田林市、松原市、羽曳野市、藤井寺市、八尾市、大阪狭山市の八市。計画概要は、処 理面積が6,256ha、処理人口が46万1,700人、処理水量が32万3,400立方m/日となっている。 1985年6月から第1期施設(4万立方m/日)の供用を開始した「今池水みらいセンター」の現在における 処理能力は、10万立方m/日に達しており、同処理区の中枢を担っている。なお、幹線管渠(総延長51.3 ?)の敷設は、平成18年度末までに48.4?が完成している。 <大井処理区> 1974年度から事業に着手した東部(大井)処理区は、富田林市、柏原市、羽曳野市、藤井寺市、八尾市、堺 市、河南町、太子町、千早赤阪村を対象とするもので、計画概要は、処理面積7,403ha、処理人口28万7,800 人、処理水量21万2,400立方m/日。中核施設となる「大井水みらいセンター」は、1996年8月から供用を開 始した。また、2004年度末には2万5,000立方m/日の増設工事が完成。これにより、同センターの現在にお ける処理能力は、7万5,000立方m/日に達しており、順調に供用を続けている。なお、幹線管渠(総延長 54.7?)は、平成18年度末現在までに49.9?が完成している。 <狭山処理区> 富田林市、大阪狭山市(旧狭山町)の公共下水道としてスタートし、1967年に1万立方m/日での供用を開 始した南部(狭山)処理区。この後、大和川下流流域下水道計画に統合され、現在へと至っている。同処理 区の対象となるのは、富田林市、河内長野市、大阪狭山市の三市で、計画概要は、処理面積5,256ha、処理人 口24万7,500人、処理水量15万3,000立方m/日。中枢を担う「狭山水みらいセンター」の現在における処理 能力は、7万750立方m/日に達している。なお、1985年から敷設工事を本格化させた幹線管渠(総延長26.5 ?)の敷設は、2006年度末現在までに26.4?が完成している。 南大阪湾岸流域下水道 ………………………… <北部処理区> 北部処理区は、堺市、泉大津市、和泉市、高石市、岸和田市、貝塚市、忠岡町の6市1町にまたがる1万 2,625haを対象とするもので、処理人口は55万800人、計画処理水量は41万5,300立方m/日となっている。 1987年に供用を開始して以来、快適で健全な生活環境の創造に寄与している「北部水みらいセンター」は、 現在、18万5,000立方m/日の処理能力を有している。なお、幹線管渠(総延長55.7?)の敷設については、 2006年度末現在までに54.1?が完成している。 <中部処理区> 岸和田市、貝塚市、泉佐野市、泉南市、熊取町、田尻町の4市2町を対象とする中部処理区の計画概要は、 処理面積6,743ha、処理人口26万6,400人、処理水量21万5,800立方m/日となっている。その中枢を担う「中 部水みらいセンター」は、1989年4月から供用を開始。現在の処理能力は、5万6,400立方m/日に達してい る。なお、幹線管渠(総延長28?)の敷設については、2006年度末現在までに27.9?が完成している。 <南部処理区> 南部処理区の計画区域は、泉南市、泉佐野市、阪南市、岬町の3市1町にまたがる4,284haで、計画処理人口 は16万8,000人、計画処理水量は13万2,400立方m/日となっている。中核施設となる「南部水みらいセンタ ー」は、1993年5月に供用を開始。現在の処理能力は、2万5,400立方m/日に達している。なお、幹線管渠 (総延長24?)の敷設については、2003年度末までに全線が完了している。