職員研修充実など、チェック体制強化 大阪府はこのほど、設計積算ミス防止などの具体策を定めた「設計積算業務等改善及び具体的な再発防止策」 を策定した。 平成16年発注工事で、設計ミスが判明しながら他の工事を付け加えて入札価格のつじつまあわせをしていた 事例を受け、再発防止に向けて検討を進めていたもの。 今後、職員の意識改革からチェック体制を強化し、マニュアル作成や協議機関を設置することとしている。
防潮堤工事のミスを受け これは今年2月、企業局が発注した「南大阪湾岸防潮堤撤去工事その19(南地区」で、積算数量の取り違え により約6000万円の差額が生じる積算ミスが発生、これに対して当時の府担当職員が設計変更による追加 工事などでつじつまを合わせていたもの。ミスは、外部からの指摘を受けて発覚した。
このため府では、当時の関係者から事情聴取を行い事実関係を調査、不適正な事務処理が行われていたことが 判明したため、「設計・積算業務改善検討委員会」を設置して、設計・積算業務の改善と具体的な再発防止策 の検討が行われた。その後、同委員会から、大阪府住宅まちづくり部に提言書が提出されたことから、改善策 と具体的な取り組みをまとめたもの。
提言書は、設計積算業務の改善と再発防止柵として「職員の意識改革を行うための提言」「チェック体制の整 備強化に関する提言」「問題発生後の対応についての提言」の3項目からなり、これを受けて改善及び再発防 止策がまとめられた。
改善及び再発防止の具体的策では、職員の意識改革を行うため、職員研修の充実とセルフチェックによる職員 の倫理観の向上、職員の意識調査、チェック体制の整備強化のため、積算チェックシート作成や設計検討会を 活用したチェック体制の強化、問題発生後の対応として、マニュアル作成や対応策を決定する会議の設置ーな ど。
職員研修は、少人数での討論型研修を設計積算業務に関わる全ての職員を対象に毎年1回開催。倫理観向上で は、セルフシートにより業務に関わる全職員や決裁関与者らを対象に年3回、セルフチェックを実施するほ か、アンケート調査による意識調査を行う。
チェック体制整備強化は、適正な人材を指定して責任者の明確化を図り、チェックシートにより工事毎に複数 の検算者を指定。土木施設や建築物の設計を検討する設計検討会を設置し、設計時や施工中の技術的なトラブ ルへの対応を図る。
問題発生後の対応については、契約期間内と竣工後のミスについて区分し、それぞれの対応をルール化するた め設計積算ミス対応マニュアルを作成する。 また、問題が所属長まで正確に伝わるように報告の義務付を徹底。さらに必要に応じて「処理対応策決定会 議」を設置し、同会議で処理方針を決定、会議は住宅まちづくり部の意思決定が出来る職員で構成するとして いる。
ミスのあった工事は、防潮堤の切断面積の数量集計の誤りにより発生。これに対し当時の工事を担当していた 課長補佐が、大型ブレーカーによる取壊しを自らの判断でワイヤーソーイング工法に変更、さらに粉砕・再利 用を基本としていたコンクリート殻を有料の残塊処分とする設計変更して、変更契約を行い、さらに後日、工 事の支障となる水道管等の移設を変更追加、2回目の設計変更により変更契約したもの。