事前審査1件、試行計画2件など承認 近畿地方整備局は17日、大阪市中央区のKKKRホテル大阪で、今年度第1回目の「新技術活用評議会」 (座長・足立紀尚京都大学名誉教授)を開いた。 今回は、試行の技術の事前審査1件、試行計画2件、活用後事後評価3件、の計6件について審議。保留とし た活用後事後評価1件を除き5件を承認した。 冒頭、挨拶に立った足立座長は、まず、「新潟県中越沖地震が発生し、また大きな被害が発生した。ますます 新たな防災技術の必要性を痛感している。」と述べた後、古いダムを視察したことにふれ、「いつまでも立派 にその役割を果たしていることに感銘した。先達の努力を現場に生かし、現場に基づいた技術の開発を進めて いかなければならない」と語った。 近畿整備局は、平成17年4月から試行的に運用してきた「公共工事等における新技術活用システム」を昨年 8月から新技術の峻別による有用な新技術の活用促進と技術のスパイラルアップを目的として、事後評価に重 点を置いた同システムの本格運用を開始した。 タイプは民間の申請者による「試行申請型」、「施工希望型」、「フィールド提供型」、と「発注者指定型」 の4タイプを用意している。 今回審議されたには事前審査の「既設構造物用鋼材腐食モニタリングシステム」1件、試行計画の「Kui Taishin−SSP工法」、「TDRショット工法」の2件、さらに活用後事後評価の「排水性舗装用区 画線消去工法・Jリムーバー」「モジュラーチ工法」「マムエコボードN」の3件の計6件。 このうち活用後事後評価の「Jリムーバー」については、評価方法でもう少し検討の余地があるとして保留。 その他5件はすべて承認した。 審議された新技術の概要は次の通り。カッコ内は副題。 ▽既存構造物用鋼材腐食モニタリングシステム(エクスパンション・リング・システム) 開発者はアーヘン工科大学、S+R、Sensortek 、Gmbh社。 開発は1990年。既存の鉄筋コンクリート構造物中の鋼材腐食の危険性をモニタリングする技術。 1センチ間隔に6ホンの携速リング(電極)が配置されており、このリングの腐食を段階的に読み取 り、鉄筋の腐食を予想する。エクスパンション・リング・システムを採用しているのが特色。 ▽Kui Taishin−SSP工法(パイルペイント橋脚の耐震補強) 開発者は(株)白石、(独)土木研究所、ショーボンド建設(株)。開発は1999年。 パイルペイント基礎に補強鋼板を巻きたて、圧力(ウオータージェット併用)し、高流動分離型無収 縮モルタルを充填し、パイルペイントと一体化する補強工法。圧入工法や鋼板巻き立てを応用。関東 地方整備局川崎国道事務所の一般国道357号辰己橋(山側)耐震補強工事に試行。 ▽TDRショット工法(断面修復用湿式吹きつけ工法) 開発者は飛島建設(株)、電気化学工業(株)。開発は2004年。特殊モルタルと強化促進剤によ る中性化、塩害、凍害、科学的浸食などにより劣化したコンクリート構造物の断面修復用湿式吹きつ け工法。硬化促進剤の採用と特殊モルタルを開発。近畿地方整備局大阪国道事務所の1号森口高架橋 火災損傷復旧工事で試行。