独立行政法人日本原子力研究開発機構 東濃地科学センター端浪超深地層研究所で開催 創造性あふれる研究開発に?熱いまなざし?--- 社日本電力建設業協会関西支部(竹内克太支部長)は5日、超深地層研究所計画の中核 施設となる独立行政法人日本原子力研究開発機構東濃地科学センター瑞浪超深地層研究 所(岐阜県瑞浪市明世町山野内)において恒例の見学会を開催した。同見学会は、電力 建設技術の向上、安全公害対策の検討ならびに電力施設の紹介等の広報活動を目的とし て1983年から実施しているもので、過去にも大きな成果を収めてきたが、今年は、
原子力発電の使用済燃料から資源を回収した後に残る高レベル放射性廃棄物を安全に処分するための地層処分 技術に関する研究のうち、国の計画に示された深地層の科学的研究(地層科学研究)を行う施設の建設現場を つぶさに見て回り、その施工に息づく確かな技術力や深地層に対する理解を深めた。 〜〜〜 研究坑道(主立坑)などに熱視線 〜〜〜 地層科学研究への研鑽深める 日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構を統合し、2005年10月に発足した独立行政法人日本原子力 研究開発機構(JAEA)。 安全確保を大前提として、我が国のエネルギーの安定確保及び地球環境問題の解決並びに新しい科学技術や産 業の創出を目指した原子力の研究開発を総合的、計画的かつ効率的に行うとともに、成果の普及などに努める ことにより、人類社会の福祉及び国民生活の向上に貢献している。 「原子力の未来を切り拓き、人類社会の福祉に貢献する」というJAEAのミッション達成への一翼を担う東 濃地科学センターでは、高レベル放射性廃棄物を安全に処分するための地層処分技術に関する研究開発のう ち、国の計画に示された深地層の科学的研究(地層科学研究)を瑞浪超深地層研究所、正馬様用地及び瑞浪地 科学研究館において推進。 具体的には、地下深い所の地下水や岩盤の様子を知るための手法を確立するもので、「超深地層研究所計 画」、「広域地下水流動研究」および「地質環境の長期安定性に関する研究」を地域住民の理解を得ながら、 安全を最優先して進めている。 このうち、超深地層研究所計画では、地質環境の評価のための体系的な調査・解析・評価技術の基盤整備なら びに深地層における工学技術の基盤整備を目的とする地層科学研究を瑞浪超深地層研究所と正馬様用地で推 進。日本電力建設業協会関西支部の一行約30人が5日の午後1時に訪れた瑞浪超深地層研究所においては、 岩盤や地下水を調査する技術や解析する手法の確立、深い地下で用いられる工学技術の基盤整備を目指してい る。 主に花崗岩を対象として、岩盤の強さ、地下水の流れや水質などの調査を実施するとともに、実際に地下1, 000?程度まで立坑を掘削し、水平坑道を設置して行う研究は、大きく3つの段階に分けて推進。地表から の調査予測研究が第1段階、研究坑道の掘削を伴う研究が第2段階、研究坑道を利用する研究が第3段階とな っている。 現在、第2段階の研究を進めている瑞浪深地層研究所の管理棟において山本勝施設建設課課長から、核燃料サ イクルと高レベル放射性廃棄物対策や施設の概要についての説明を受けて予備知識をインプットした参加者 は、研究坑道となる主立坑・喚気立坑をまず見学。 2003年7月から開始した研究坑道(50?以深)の掘削では、ショートステップ工法と呼ばれる掘削工法 を採用し、現在までに主立坑(内径6・5?)、換気立坑(内径4・5?)ともに約200?の掘削が完了し ており、200?予備ステージ(水平坑道)についても今年の2月20日から掘削を順調に推進している。 様々な研究成果をもたらす主立坑を上からのぞき込んだ参加者が次に見学したのは排水処理設備。 この設備には、ふっ素、ほう素を低減するための設備も含まれるなど、「瑞浪超深地層研究所に係る環境保全 協定書」ならびに同協定に基づいて関係自治体と協議の上作成した「環境保全に関する基準書」の遵守に万全 を期している。 このほか、巻上設備などにも熱いまなざしを注いだ参加者は、地下深い所の地下水や岩盤の様子を知るための 手法を確立することを目的とする研究の重要性を改めて実感。地層を科学する東濃地科学研究センター瑞浪超 深地層研究所において研鑽を深めた恒例の見学会は有意義に幕を閉じた。