大容量送水管整備事業の奥平野工区で、6月に認可、9月着工へ 神戸市では、現在事業を進めている大容量送水管整備事業で、全国でも初めてとなる「大深度地下使用法」の 適用に向けた認可申請をこのほど、兵庫県知事に提出した。地下40mから49mに送水管を布設するためのもの で、認可が下りれば私有地直下での工事が無償で行え、工期短縮やコスト縮減が図られるとしている。今後、 申請書の縦覧を経て6月頃には認可される予定で、9月には工事に着手したい考え。 大深度地下使用法は、2001年4月に事業の円滑な遂行と大深度地下の適正かつ合理的な利用を図ることを目的 に、「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」として施行された。通常は利用されない地下空間で、公 益性を有する事業に限り、原則として地権者に対して事前補償せずに使用できるもの。 その定義は、建築物の地下室及びその建設の用に通常供されることがない地下の深さとして政令で定める地表 から40?か、当該地点で建築物の基礎杭を支持する地盤(支持地盤)として政令で定めるうち最も浅い深さに 10mを加えた深さとしている。 今回、適用を申請した大容量送水管事業は、地下鉄及び新神戸トンネルを下越しするため、当初から深い線形 を余儀なくされており、大深度地下使用法の適用が効果的とされたことから「奥平野工区」での申請を行った もの。大容量送水管整備事業は、阪神淡路大震災を契機に六甲山を通る2本の送水トンネルに加え、新たに市 街地を通る大容量送水管を整備。二つのルートを確保することで災害時のリスクを分散するとともに、高い耐 震性と大量の貯水能力を備え、震災時の応急給水や早期復旧が可能となり、また、2本の送水トンネルの更新 時には代替送水ルートともなる。 事業は、芦屋市境から奥平野浄水場間の延長12.8?を第1期計画として、1996年度から実施。送水管は口径 2.4m、計画送水能力40万立方m/日で、同15年に芦屋市境から住吉川立坑の3.8?が完成。現在は、住吉川立 坑から奥平野立坑までの9?を整備している。 このうち奥平野工区では、本線延長2.4?を整備。奥平野立坑を起点に布引立坑に到る区域のうち2つの事業 区域で大深度地下使用法を申請。申請したのは、中央区の再度筋町から諏訪山町地先125mのうち109mでの深 さ40から49.5mと、北野町一から加納町2地内166mのうち159.5mの深さ40から58.5mの区域。 同区域は、公共通路が直線的に連続しておらず、道路下のみの占用では大きく迂回するルートとなるが、大深 度地下使用法の適用により、一部私有地の地下を使用することで直線的なルートが確保でき、延長距離の短縮 が図れることで、工期短縮とコスト縮減が可能となる。 申請書は3月27日に提出され、これに伴い2週間の縦覧と意見書提出を経て、6月頃には認可を予定、9月頃 に工事に着手する予定としている。なお、同法の使用期間は今年9月1日から構造物が存続する期間中として いる。 -------------------------------------------------------------------------------------------------- ※神戸市では、同整備工事について第24半期での発注を予定している。概要は、立坑築造径10.5m×50m、 セグメント外径3.35m、シールド工2,400mなど。工事場所は中央区熊内通 兵庫区楠谷町。 工期は約67か月間。 --------------------------------------------------------------------------------------------------