再建や区分所有などマンションの諸問題について 欠陥住宅被害の救済と予防に取り組む、弁護士や建築士など専門家のネットワ ークである欠陥住宅被害関西連絡協議会(通称・欠陥住宅関西ネット)の主催 によるシンポジウム「耐震偽装だけじゃない!マンションの落とし穴」が3月 31日、大阪市西区民センターで開催された。同ネットの総会と併せ行われたも ので、ネット会員並びに一般から約70人が参加、マンションにまつわる諸問題 についての講演が行われた。
シンポジウムでは、初めに来賓として出席した欠陥住宅全国ネットの幹事長である吉岡和弘弁護士が挨拶。吉 岡幹事長は、全国ネットは現在、多くの会員を抱え組織も大きくなり心強いが、「それだけ欠陥住宅の被害が 多いということを重視すべきだ」としながら、関西ネットはその中心であり、理論や活動面でも支えとなって いるとした。 また、全国ネットは「関西を中心に、関西を模範として立ち上げてきた」とその役割を評価。日弁連でも関西 ネットの会員を中心に、「安全な住宅に居住する権利を提唱している」として、全国ネットは「関西ネットが 活動の原点。今後も進化を遂げてほしい」と今後の活動に期待を寄せた。 この後、欠陥住宅問題に取り組むルポライターの島本滋子氏、弁護士の湖海信成氏、折田泰宏氏、建築士の石 井修二氏、橋本頼幸氏が、それぞれマンションにまつわる講演を行った。この中で、島本氏は‘分譲マンショ ン、その存在への問題提起’をテーマに、阪神大震災を契機とした日本の住宅問題から住宅行政の在り方につ いてを講演。島本氏は、阪神大震災がローンによる住宅取得の危うさや不動産売買への無知、さらに分譲マン ションが持ち家でありながら分数に支配されていることの問題を「あぶりだした」と指摘。さらに労働基準法 や住宅公庫法などの改正により、「中流層に持ち家を取得させるとする従来政策の転換が始まった」と「政治 不在の規制緩和」と危機感を訴えた。 また、区分所有法の改正については、高層マンション建設と建て替えに関しての裁判事例を挙げながら、「住 宅取得を損得で考える企業利益優先のコーポレットジャパンの出現」と、「地域や居住者の意向を無視した建 物計画も立派な欠陥マンション」との見解を示したほか、「非常に不幸な震災復興の形」として、阪神大震災 での被災マンションの再建事例を挙げながら、情報公開の大切さを強調した。 この後、各講師からマンションの欠陥についての事例紹介と解説などが行われた。特にマンションの場合、外 壁や屋上、駐車場など共用部分について売買時や入居時に欠陥が見つけにくいことや、入居者自身の無関心な どに課題があるとされた。 また、再開発ビル等で業務施設が併設された複合施設のマンションの場合は分譲より賃貸の方が良い、マンシ ョン事業者は正しい情報を伝えるべきなどとし、正しい知識を得るため「建築士など専門家を活用すべき」な どの意見が披露された。