4月から順次範囲拡大 大阪市は、電子入札や事後審査型制限付一般競争入札の適用範囲拡大などを盛り込んだ「入札契約改善」をま とめ、計画の前倒しを行って4月以降の発注分から順次実施する方針を固めた。3月27日に開かれた2006年度 の市契約制度等審査会(惣宇利紀男委員長)に10項目を諮問し承認されたもので、競争性の確保と談合などの 不正行為排除を図るのが目的。なお、4月の局組織の再編整備により、これまで入札契約を担当していた財政 局契約監理部は、建設局用地部及び住宅局管理部用地課を統合し、新設した「契約管財局」となった。 電子入札の拡大は2004年2月から実施。現在、一般土木は2億円以上(ABランク)が「電子入札のみ」、 「電子・紙入札併用」は3千万円以上2億円未満(CDランク)、建築は「電子入札のみ」が3億円以上(A Bランク)、「電子・紙入札併用」が4千万円以上3億円未満(CDランク)となっている。 これを4月・5月からは、土木の「電子入札のみ」は3千万円以上(ABCDランク)に広げ、3千万円未満 (Eランク)は「紙入札のみ」に改める。建築は「電子入札のみ」が4千万円以上(ABCDランク)、「紙 入札のみ」が4千万円未満(Eランク)。さらに「電子入札のみ」を土木は6月から、建築は7月から全件適 用へ拡大させ、紙入札を認めないことにした。舗装や設備などの工事についても、6月(または7月)から全 件適用する方針だ。 事後審査型制限付一般競争入札対象工事の範囲拡大は、一般土木で現行2億円以上(ABランク)としている のを、4月・5月から3千万円以上(ABCDランク)、6月から全件適用に踏み切る。建築は現行3億円以 上(ABランク)を、4月・5月から4千万円以上(ABCDランク)、7月から全件適用へ拡大。舗装や設 備工事なども、6月から順次範囲を拡大したい考え。また、この拡大に伴い、市内に本店を有する業者につい て地域要件を大阪市全域に広げるなど、「地域要件の緩和」も図る。 談合防止の観点から、特定JV制度の見直しを行い、入札後のJV結成方式(ノミネート方式)を今年度から 試行的に導入する。同方式は、入札に幹事会社となる大企業が参加し、落札した段階で地元企業のリストの中 から協力会社を選定して地元企業の育成も図ろうというもの。 低入札価格調査制度の適用範囲も拡大。現行の建築3億円以上、建築以外2億円以上の適用を、全工事1億円 以上に広げ、4月からの発注分から実施する。市はこれによって、適正な施工の確保の推進や不良・不適格業 者の排除が図られる上、入札参参加者の企業努力を促し、競争性の向上によるコスト縮減効果も期待できると いう。ダンピング受注の対応策としては、 ?技術者の複数配置を義務化する ?ヒアリングや随時点検を行うなど、監視・監督・審査体制を強化する ?過度な低入札での連続受注による粗雑工事を排除するため必要に応じて受注制限を加える としている。 総合評価落札方式の導入については、策定している試行要領やガイドラインに沿って試行的導入と検証を行う としているが、「企業側にも加算点の項目など、できるだけ説明が果たせるようにしたい」と慎重な姿勢を示 し、実施時期については明言を避けた。国は全国の自治体や発注機関に対して、「2007年度中には、少なくと も1回は総合評価方式にチャレンジしてほしい」との要望を出している。このほか今回の入札契約改善には、 施工監理の強化、談合情報対応マニュアルや指名停止措置要綱の改正、警察と連携強化を図った暴力団排除の 強化などを盛り込んでいる。 市の入札契約改善は、談合防止を図るのが大きな狙い。市に寄せられた談合情報は2006年度(2月末現在)79 件。2004年度の33件、2005年度の49件に比べて大幅に増加しているのが現状だ。契約管財局長の村上龍一局長 は、「談合や公共工事の入札事件が全国各地で発生している。激しい低入札の受注も大きな課題。市として も、入札制度改善はスピード感を持って取り組むことが大事だ」と話している。