対策と改善項目追加 ===== 19年度に損益黒字転換へ ====== 大阪府住宅供給公社はこのほど、「新経営計画」の検証と対策(平成18年度版)を策定した。平成16年度 に策定した同計画を検証するとともに、公社経営の安定化に向けた当面すべきことの対策についてをまとめた もの。新たな経営改善項目等を加え、平成19年度には損益の黒字転換を見込んでいるほか、借入金の着実な 縮減を目指すとしている。 公社では、バブル崩壊後の社会情勢の変化を受け、地価の下落等損失要因を抱える中、自主努力を基本に経営 改善に取り組むための、「経営改善計画」を平成13年8月に策定。その後、地方住宅供給公社会計基準の改 正や保有資産全体の再評価を踏まえ、同計画を見直した「新経営計画」を同16年9月に策定した。
新計画は、平成16年度から23年度を計画期間とし、新たな計画を盛り込んだもの。しかし、賃貸住宅市場 の家賃低下等の影響による収入減少、借上特定優良賃貸住宅の空家増加などによる損失が拡大し、新経営計画 の見込みと大きく乖離する厳しい状況となっている。
このため、計画の見直しを行うとともに、借上げ特定優良賃貸住宅での空家対策等による賃貸事業収入の増加 や建替事業の効率的・効果的な事業の見直し、保有地等の早期処分など、経営安定化に向けた当面の対策につ いて、計画の検証と対策をまとめたもの。
検証の結果、資金収支予測では、計画期間の借入金の償還原資となる収支差額(合計)が約151億円減少。 損益収支予測では、期間中、毎年20億円 30億円の赤字が見込まれ、借入金残高が23年度末で2243 億円と、現計画と比べ微増とした。
この対策としては、新経営計画での改善目標に加え、「借入金の着実な縮減」を改善目標に追加するととも に、目標実現に向けて、建替計画な見直しを含めた総合的な対策を実施することとした。
取り組みでは、賃貸住宅事業収支改善として、計画修繕費の縮減や一般賃貸住宅収入等の確保、駐車場使用料 収入の確保と建設工事費の縮減を、借上特定優良賃貸住宅の収入確保では、新婚・子育て世帯向け等への家賃 を減額するとともに、借上げ公営住宅制度を活用する。
また、建替事業では、建替団地の統廃合を推進と事業の平準化、事業費を縮減するほか、再生地収入の増加を 図ることとした。これにより、損益は平成19年度に黒字転換の見込みとし、23年度末の借入残高も現計画 の2243億円から1965億円に圧縮するとしている。
今後の課題としては、平成24年度以降の中長期的な経営展望を見据えて経営改善に取り組むことが重要 ---とし、毎年度に改善計画の効果を検証して必要に応じて対策を見直し、計画期間以後も借入金を 着実に縮減して試算の適正化を図るとした。
また、賃貸住宅事業については、中長期的な経営の視点に立ち、建替計画を見直すとともに、今後の団地経営 のあり方についても検証を行うこととしている。