ユーザー感覚で、実感できる社会資本の整備を 関西は一つ、総合力を発揮 10月16日付で就任した布村明彦・近畿地方整備局長の記者会見が24日、大阪市 中央区の大阪合同庁舎第一別館会議室で行われ、「ユーザー感覚で、人の目線 で実感できる社会資本の整備を着実に進めていきたい」と今後の方針を語っ た。 ※写真:抱負を語る布村局長
まず関西との関りについては、内閣府参事官(地震・火山対策担当)の任務で、「東南海・南海地震特別対策 として防災に直接携わり、関西の地方公共団体や災害ボランティアの方々とよく話をした」という。また、自 然保護やまちづくりに関する市民団体との交流も深く、「これまでユーザー感覚、受け手感覚のことを大事に して仕事をしてきた。公共事業では国民になるほどと思ってもらえること、防災も住んでいる人に重要な情報 を提供できるよう、今後も誰もがハッピーになれるような仕事をしていきたい」と抱負を語った。 関西の経済や景気を映し出す「近畿の再生なくして日本の再生なし」「関西元気宣言」と局長のキャッチフ レーズが続いた。「私も同じ気持ちで大切にしたい。最近の関西の経済状況をみると、景気が相当持ち直して きていると聞いている。これからは、関西からの発信が次のステップになる。景気が上向いているこの時期が 非常に大事。社会資本の整備を着実に推進し、今後の関西発展の姿をつくる基盤を、しっかり固めていかなけ れば…」と強調。「関西のポテンシャルは大きい。いろんな地域が一つになって総合力を発揮出来るのは、関 西だけではないかと思う」と語り、高速道路のネットワークの拡充、大阪港・神戸港の港湾施設の整備など、 「関西一体の整備が国際競争力の強化や関西経済の成長につながる」との認識を示した。 また、安全・安心の確保として「基盤づくりには、ハードだけでなく、ソフトも含めて漏れることがないよ う、しっかりと事業を執行したい。災害が起こった後の輸送道路や緊急道路などにしても、早く災害復旧でき るよう整備しておくことが必要だ」と述べたほか、歴史・文化に恵まれた地域の豊かな個性と活性化を生かし たまちづくり、都市の水辺再生や公園整備の整備の必要性にもふれた。 課題となっている公共事業の信頼回復については「透明で公正な契約制度に基づき、ダンピングの防止、品質 の確保などには一層力を入れていきたい。元請下請関係にもひずみがでてはいけない」と述べた。 淀川水系で継続・中止が検討されている五つのダム事業については、「これまでも相当議論していただいた。 具体的に生かすべきものは生かしていきたい。ただ、議論が先走りして、中味が伴わないことになってはいけ ない。住民や市町村などの小さな意見もとり入れながら対応していくことが大事だ」との見解を示し、来年1 月に任期切れとなる淀川水系流域委員会の委員選定の時期については明言を避けた。 布村明彦 (ぬのむら・あきひこ)1977年3月京都大学大学院工学研究科土木工学専攻修了。同年4月建設省(現国土交 通省)入省、1997年1月河川局治水課沿川整備対策官、同年7月同局河川計画課河川事業調整官、2000年6月 国土庁防災局震災対策課長、2001年1月内閣府参事官(地震・火山対策担当)、2003年7月河川局河川計画課 長を経て現職。福井県出身、53歳。
