アメニティ豊かな集合住宅 多様な住居者ニーズに対応 居住水準の向上と土地の効率的活用による住宅供給の促進などを目的として建 て替え事業を計画的に推進している大阪市が、その一環として進めていた古市 東住宅8号館・9号館建設工事がこのほど完成した。8号館(RC造六階建 て、41戸)は(株天馬工務店、9号館(RC造六階建て、35戸)は杉本・福嶋 経常建設共同企業体が施工を担当し、全工期無事故・無災害のうちに高品質を 確保した。 ※写真上:9号館(施工=杉本・福嶋JV) ※写真下:8号館(施工=(株)天馬工務店) 調整を蜜に図り高品質確保
約10万戸におよぶ既存の市営住宅ストックを良好な社会資本として有効に活用していく指針となる「市営住宅 ストック総合活用計画」に基づきながら、老朽化した市営住宅の建て替え事業を計画的に推進している大阪 市。居住水準の向上や良好な住環境の整備を図るとともに、都市の不燃防災化や土地の効率的活用による住宅 の供給促進に努めている。 その一環として、京阪電鉄「関目」駅から東に1.0?、大阪市営地下鉄長堀鶴見緑地線「今福鶴見」駅から北 に0.9?の大阪市城東区古市2丁目に位置する市営古市中住宅では、平成6年度から安全・安心・快適な居住 環境の創出をもたらす建て替え事業が始まり、鮮やかな変貌を遂げてきている。 これまでに第五期までの建て替え事業が完成し、「古市東住宅」という名称で管理されている同住宅は、1953 年度から建設された鉄筋コンクリート造と簡易耐火住宅835戸の団地で、道路・公園・学校を一体的に計画す るなど、戦後の公的住宅団地開発のモデルにもなっていた。 しかし、経年経過に伴う老朽化の進行はもとより、住戸規模も小さいことから、居住水準の向上および都市の 不燃防災化等を図る建て替え事業の推進と併せて、今後のまちづくりのモデルとなる新しい都市型集合住宅の 建設を目指すこととした。 魅力的な景観を備えたアメニティー豊かな住宅地の形成、良好なコミュニティの形成、安心して暮らせる居住 環境の整備など、長期的な視野に立って進められてきた建て替え事業によって安全で快適な居住環境整備が大 きく前進した古市東住宅。その一翼を担う第6期工事では、8号館、9号館、10号館の建設が進められ、この うちの8号館、9号館が完成した。 高齢者をはじめ、すべての入居者が安心して暮らせるよう、全住戸のバリアフリー化を図るとともに、最新の 設備を導入して人にやさしい住環境を創出している8号館、9号館の戸数は、8号館が41戸、9号館が35戸と なっており、多様な居住者ニーズに対応できるよう、多彩な間取りプランを揃えている。 一方、施工を担当したのは8号館が(株天馬工務店(益山慶一所長)、9号館が杉本・福嶋経常建設共同企業 体(竹之内望所長)。他工区との調整を密に図りながら、品質の向上を目指して安全第一に工事を推進した。 鮮やかな変貌を遂げてきた団地の一角において工事が本格化したのは、2005年5月のゴールデンウィーク明 け。既設住宅の基礎および杭があったため、この撤去から着手し、6月中旬から杭打ちを開始した。 打設したのは場所打ちコンクリート杭(八号館28本、九号館22本)で、7月中旬にすべての打ち込みが完了。 この後は、掘削を約1カ月かけて推進し、8月末に基礎コンクリート、9月末に土間コンクリートをそれぞれ 打設した。 躯体は、ワンフロア当たり25日から30日ピッチで上昇していき、8号館は今年の3月中旬、9号館は同月末に 打ち上げを果たした。
外装ばかりでなく、室内天井や間仕切り壁もコンクリート打ち放しだったため、躯体精度の向上にはとりわけ 留意して高品質を確保した(株)天馬工務店と杉本・福嶋経常建設共同企業体。具体的には、コンクリート打 設前の水平・垂直チェックを各階に亘って厳密に実施するとともに、ジャンカが生じないように突き固めを入 念に行うなどして密実なコンクリート打設に努めた。 また、7月末に内装、9月中旬に外構を完了させ、工期内竣工を果たした(株)天馬工務店ならびに杉本・福 嶋経常建設共同企業体では、協力会を結成して資材の搬入や工程の調整をスムーズに図るとともに、振動・騒 音の軽減や粉塵の防止に努めて近隣住民からの工事に対する理解と協力を得た。 安全管理面においては、幼 稚園から短大までを擁する私学(信愛女学院)ならびに「大阪市立菫小学校」が近接してあったため、通学路 にガードマンを常駐させたのはもちろん、通学時間帯を避けて搬出入を行うといった対応策を講じて第三者災 害の防止に全力を傾注。また、現場内においても墜落・転落災害の防止を重点項目として定めた安全管理活動 を緻密に展開して全工期無事故・無災害を見事に達成した。