琵琶湖の水質保全に全力 日本のほぼ中央に位置し、北は福井県、東は岐阜県、南東は三重県、西は京都府とそれぞれ接している滋賀県 の面積の約6分の1を占める琵琶湖は、およそ400万年の歴史を有し、豊かな生態系を育んできた我が国最大 の淡水湖で、長年に亘る自然と人との共生の営みを通して形づくられてきた生命文化複合体ともいうべき多様 な価値の集合体。人と人、人と自然が共に生きる、真に豊かな湖国の創造を目指す滋賀県においても、貴重な 生態系の宝庫である琵琶湖を国家的見地から保存し、その恵みを次世代に引き継ぐため、「水質保全」、「水 源涵養」、「自然的環境・景観保全」の3本柱からなる琵琶湖の総合保全と取り組み、環境にやさしい「エコ ライフ」の実践に取り組んでいる。なかでも、下水道事業は、人口・産業・資産・都市機能が集積する近畿圏 の社会経済活動を支える貴重な水資源であるとともに、潤いのある水辺空間として重要な役割を果たしている 琵琶湖の水質保全に対する大きなカギを握っており、昭和46年度に策定した「琵琶湖周辺流域下水道基本計 画」に基づきながら着実に事業を推進している。 「湖南中部」、「湖西」、「東北部」、「高島」の四処理区からなる琵琶湖流域下水道および流域関連公共下 水道と、大津市単独公共下水道を主体とした下水道整備とひたむきに取り組んでいる滋賀県の2005年度末現在 における下水道普及率は、80.3%に達しており、 全国では第7位にランクインしている。 一方、琵琶湖の富栄養化防止のため、全国に先駆けて本格的な高度処理を導入し、通常の有機物除去に加え、 窒素、リンの除去も行っている滋賀県の高度処理人口は、全国第1位を誇っており、今後も高度処理を積極的 に推進。また、「琵琶湖と人との共生(琵琶湖を健全な姿で次世代に継承します)」という基本理念に基づい て、▽共感(人々と地域との幅広い共感)▽共存(保全と活力あるくらしの共存)▽共有(後代の人々との琵 琶湖の共有)―の基本方針を達成していく「マザーレイク21計画」に向け、現在の高度処理からさらに進んだ 「超」高度処理の実現に向けた検討を重ねている。 ■琵琶湖流域下水道 <湖南中部処理区> 滋賀県のほぼ中央に位置する我が国最大の淡水湖・琵琶湖の水質保全に大きく寄与する湖南中部処理区は、大 津市、近江八幡市、東近江市、草津市、守山市、栗東市、野洲市、甲賀市、湖南市ならびに安土町、日野町、 竜王町にまたがる約2万9,200haを対象とするもので、計画処理人口は約87万8,000人、計画処理水量は約78万 8,000立方m/日となっている。 琵琶湖流域下水道の四処理区の中にあって、最大規模を誇る処理区の中枢を担っている湖南中部浄化センター は、草津市矢橋町沖合の琵琶湖を埋め立てて造成した敷地に設けられており、昭和57年4月に7,000立方m/ 日の処理能力で供用を開始。また、この後も流入量の増加に伴う増設工事が順次進められ、現在における処理 能力は21万6,500立方m/日に達している。 一方、幹線管渠の敷設については、事業認可延長(15幹線178.0?)のうち、2005年度末までに171.6?の築造 が完了している。 <東北部処理区> 彦根市、長浜市、米原市、東近江市ならびに豊郷町、木之本町、甲良町、多賀町、虎姫町、湖北町、高月町の 東北部地方生活圏の環境改善に大きく寄与する東北部処理区は、湖南中部処理区に次ぐ規模を誇るもので、計 画処理面積は約1万3,600ha、計画処理人口は約39万6,000人、計画処理水量は約37万1,000立方m/日となっ ている。 その中枢を担う東北部浄化センターは、彦根市と米原市にまたがる約64.1haに設けられており、1991年4月か ら供用を開始。2005年度末に増設工事が完成したことにより、現在では、8万2,250立方m/日の処理能力を 有している。 一方、木之本東、浅井、愛東東・同西幹線などの17幹線(事業認可延長約121?)からなる幹線管渠の敷設 は、2005年度末までに約110.3?が完成している。 <湖西処理区> 大津市を対象とする湖西処理区の計画面積は約3,540haで、計画処理人口は約14万9,000人、計画処理水量は約 11万7,000立方m/日となっている。湖西浄化センターは、大津市鹿苗および木の岡町地内に設けられてお り、現在における処理能力は、約5万2,500立方m/日に達している。また、2001年度からは、容融炉設備も 稼働している。 一方、湖西北幹線(延長約14.7?)と湖西西幹線(同1.0?)からなる幹線管渠の敷設は、2001年度末までに 概成している。 <東北部処理区> 彦根市、長浜市、米原市、東近江市ならびに豊郷町、木之本町、甲良町、多賀町、虎姫町、湖北町、高月町の 東北部地方生活圏の環境改善に大きく寄与する東北部処理区は、湖南中部処理区に次ぐ規模を誇るもので、計 画処理面積は約1万3,600ha、計画処理人口は約39万6,000人、計画処理水量は約37万1,000立方m/日となっ ている。 その中枢を担う東北部浄化センターは、彦根市と米原市にまたがる約64.1haに設けられており、平成3年4月 から供用を開始。平成17年度末に増設工事が完成したことにより、現在では、8万2,250立方m/日の処理能 力を有している。 一方、木之本東、浅井、愛東東・同西幹線などの17幹線(事業認可延長約121?)からなる幹線管渠の敷設 は、平成17年度末までに約110.3?が完成している。 <高島処理区> 滋賀県の北西部に位置する高島市を対象とする高島処理区の全体計画は、処理面積が約2,400ha、処理人口が 約5万1,000人、処理水量が3万9,000立方m/日となっており、交通網の整備などに伴って宅地開発が急ピッ チで進む高島地域の生活環境の向上に寄与している。 中枢を担う高島譲かセンターが1997年4月1日に3,800立方m/日での供用を開始したことにより、湖南中 部、湖西、東北部、高島の四処理区すべてで供用開始の運びとなり、滋賀県下の下水道は大きく前進。また、 1999年度末現在において処理能力が7,600立方m/日に達した同浄化センターでは、この後も増設工事が進め られ、現在は1万2,000立方m/日の水処理能力を有している。 一方、高島北幹線、高島南幹線、高島東幹線の3幹線(事業認可延長27.3?)からなる幹線管渠については、 26.8?が完成している。